東レは2月6日、韓国の100%子会社である東レ尖端素材の群山工場において、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂「トレリナ 」の生産能力を年産5000トン増設し、2024年12月の稼働開始を目指すと発表した。これにより、既存の東レ東海工場(愛知県東海市)とあわせた生産能力は年産3万2600トンまで拡大し、世界最大のPPS重合能力を有することになる。
また、今回の増設に伴い、PPS樹脂の主原料である硫化水素ナトリウム(NaSH)も増設し、コスト競争力を有した主原料から樹脂の一貫生産拠点としての位置づけを維持・強化する。
TAKで生産したPPS樹脂は、韓国内消費分以外は中国、欧米、ASEANなど、東レグループの各コンパウンド拠点へ供給し、グローバルな事業拡大を一層進めていく。
PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れたスーパーエンプラ。拡大するxEVの電装部品や電機・電子機器、住設関連部品などに使用されており、採用領域がさらに拡大している。2022年のPPS樹脂コンパウンド世界需要は約12万トンと推定しており、今後も年率6%以上の高成長が見込まれている。東レはPPS樹脂の拡大する需要を取り込むため、PPS 樹脂の増設を決定した。
同社グループは PPSを樹脂コンパウンドの他に、フィルムや繊維分野にも展開する総合 PPSメーカーであり、世界ナンバーワンの事業規模を誇る。今回の増設により、樹脂コン パウンド分野で今後の需要増を期待する高機能・環境対応製品への用途展開を推進し、世界ナンバーワンのポジションを一層強化していく。
同社グループは、本年度を最終年度とする中期経営課題「プロジェクト AP-G2022」において、「成長分野でのグローバルな拡大」を基本戦略の一つに掲げている。同社グループでは 持続的な成長を目指し、今後も成長が見込まれる中国を含むアジア・新興国市場や、自動車、 電機・電子機器、住設関連部品といった成長分野での需要を取り込み、樹脂事業のさらなる拡大を図る。
2023年02月09日