クレハの23年3月期第3四半期連結決算は、売上収益が1489億8000万円で前年同期比21・0%増、営業利益は244億8300万円で同34・7%増、税引前四半期利益は250億5300万円で同35・5%増、四半期利益は176億5700万円で同32・6%増となった。
第1四半期初めには、新型コロナウイルス感染症の再流行に伴う中国でのロックダウンにより、機能製品事業の炭素製品分野の現地工場が一時稼働を停止したが、影響は軽微だった。また、原燃料価格の高騰による業績への悪影響はあるものの、顧客の理解を得ながら、製品価格への転嫁等の対策を進めている。同社グループの第3四半期連結累計期間は、機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂を中心に売上げが伸張し、前年同期比で増収増益となった。
セグメントのうち、機能製品事業の売上収益が660億6300万円で同46・9%増、営業利益は114億9400万円で同174・8%増となった。機能樹脂分野では、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂、シェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品、その他の樹脂加工品等の売上げが増加したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに増加した。炭素製品分野では、高温炉用断熱材および自動車部品用摺動材向けの炭素繊維の売上げが増加し売上げ、営業利益はともに増加した。
樹脂製品事業の売上収益は364億9400万円で同3・5%増、営業利益は74億6900万円で同12・3%減。コンシューマー・グッズ分野では、家庭用ラップ「NEWクレラップ」およびフッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが減少したことおよび原燃料価格高騰の影響により、この分野での売上げ、営業利益はともに減少した。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムおよび塩化ビニリデン・フィルムの売上げが増加し、売上げ、営業利益はともに増加した。
2023年3月期の連結業績予想は前回公表した予想から変更はなく、売上収益は1900億円で前期比12・9%増、営業利益は270億円で同34・0%増、税引前利益は280億円で同37・3%増、当期利益は200億円で同41・2%増を見込んでいる。