東レは2月13日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2月15 日に打ち上げ予定の主力ロケット 「H-IIA」の後継機である「H3」試験機1号機に同社の炭素繊維「トレカプリプレグ」が採用されたと発表した。
主力ロケット「H-IIA」では、同社の航空機向け炭素繊維「トレカ」がモータケース(固体燃料の格納と燃焼室に当たる部分であり、 ロケット本体の構造部分)等に使用してきた。
「H3」ロケットにおいても、引き続きモータケースに「トレカ」が使用するとともに、新たにフェアリング部分(衛星等を格納するロケット先端部分)に高強度炭素繊維と高靭性樹脂を使用して設計した「トレカプリプレグ」が採用している。
フェアリングに使用する「トレカ」プリプレグは、自動積層用に設計したテープ状プリプレグであり、従来のオートクレーブ成形に加え、オーブン成形を可能にするなど、複雑形状・大型構造材の効率の良い成形加工を可能とした。
近年、放送・通信、測位(GPS)、地球観測、防災など、様々な分野での人工衛星の活用が拡大し、打上げ用ロケットの需要も年々増加している。打上げコスト削減及び高性能化が要求され、今後ますます複合材の採用拡大が見込まれており、同社は、高性能炭素繊維、ならびに、高機能炭素繊維複合材の更なる開発・供給を通じて、宇宙分野の拡大を推進する。
同社は中期経営課題「プロジェクト AP-G 2022」の基本戦略の一つとして「成長分野でのグローバルな拡大」を推進しており、炭素繊維複合材料事業は、その戦略に則った拡大領域と位置付けている。
同社は今後も企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、課題解決に最適な素材をグローバルに提案・提供することで、社会の発展に貢献していく。