ファインケミカル商社特集 三洋貿易 ダウホンのフッ素ゴムの拡売加速へ サステナブル商材の提案も強化

2023年02月21日

ゴムタイムス社

 三洋貿易(東京都千代田区、新谷正伸社長)のゴム事業部の売上高は前期比で大きく伸長した。「出荷数量ベースは微増となったが、原料価格が1年を通じ高騰するなかで、製品価格の改定を実施したことも増収に寄与した」(小宮康執行役員ゴム事業部長)と語る。足元の23年9月期第1四半期(22年10~12月)も自動車業界を始め、多くの需要先の需給バランスは落ち込んでおらず、売上は前年同期並みで推移している。
 中国、アセアン、米国など海外拠点は総じて伸長している。中国はゼロコロナ政策による制限を受けつつも、前期業績は伸長した。ただ、コロナ感染爆発の影響もあり、ここにきて日系自動車メーカーが稼働を落としているため、中国の足元(22年10~12月期)は微減の状況にある。
 タイやインドネシアは販売が好調を維持。「日系向けに販売するゴム原料や副資材などの拡売が進んでいる。アランセオを中心とした拡売展開により、今期は引き続き順調な伸長を見込んでいる」(小宮氏)と話す。
 米国では、放熱フィラーが伸びている。電気自動車へのシフトが加速する米国では、電動車に搭載されるリチウムバッテリー向けで放熱ニーズが高まっているためだ。そのほか、樹脂材料に加え、植物由来の天然素材などの新規材料も拡売が徐々に進んでいる。
 今期のゴム事業部の事業方針は、引き続きアランセオの合成ゴム、ダウ東レのシリコーンゴムの基幹商材を国内、そして海外に拠点を持つ日系メーカーに拡売を進めていく。さらに、昨年1月より取り扱いを始めた中国フッ素ゴム大手のダウホン(道弘)の拡売に注力していく。
 ダウホンは、プリコンパウンド(フッ素ゴムに薬品を配合した)で年5000tの生産能力を保有する中国大手のフッ素ゴムメーカーであり、顧客ニーズに寄り添った小回りの利くサービスを展開中。豊富な製品群も特徴の一つで、「2元系型フッ素ゴムであればほぼ問題なく供給できる体制にある」(小宮氏)と強調する。国内を始め海外の日系企業向けに販売しているが、すでに複数の日系自動車ゴム部品メーカーに採用され、実車に製品化されているほか、評価・検討が進む案件も多い。フッ素ゴムは慢性的な品不足が続く中、「お客様の安定供給を実現するためにも今期はダウホンの拡売を加速させていく」(小宮氏)構えだ。
 その他では、機能性材料を始め、エポキシ化天然ゴムやアクリル変性天然ゴム、バイオマス由来のカーボンブラック「カーボンニート」などサステナブル商材も提案に力を注いでいる。サステナブルへの取り組みを経営の重要課題として位置付けるなか、昨年11月には同社は環境配慮型樹脂原料(またはPerstorp社製ポリオール)で「ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)」を取得した。ゴム事業部ではアランセオ社のマスバランス方式 Keltan EPDMの取扱いを視野にISCC認証取得の検討を進めていく考えだ。

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