東レ、高速一体成形技術開発 CFRP製モビリティ部材

2023年02月20日

ゴムタイムス社

 東レは2月16日、軽量な炭素繊維多孔質材料(CFRF)をコア材とし、力学特性に優れる熱硬化性プリプレグをスキン材としたサンドイッチ構造体を有する炭素繊維複合材料(CFRP)製モビリティ部材の高速一体成形技術を開発したと発表した。

 同社は、同技術で自動車ルーフをモチーフに作製したCFRP製モビリティ部材において、従来のオートクレーブ成形と比べて成形速度10倍という高速一体成形を達成した。また、スチール製モビリティ部材と比べて50%の軽量化を実現している。

 今回、同社が開発した高速一体成形技術は、コア材となるCFRFとスキン材となる熱硬化性プリプレグとを、同一金型内で同時に形状賦形、熱硬化成形、接着できるため、ワンショットのプレスで大型パネルの成形を可能とする。具体的には、CFRFの特徴である膨張をプリプレグの硬化タイミングと同期させることで、短時間での一体成形を実現する。また、プリプレグの熱硬化樹脂が多孔質体であるCFRFに浸透することで、接着剤を使用することなくスキン材とコア材が接着され、信頼性の高い接合構造を形成する。同技術により、CFRP製大型部材の高レート生産が期待できる。

 また、CFRFは、従来のコア材よりも強度、弾性率、耐衝撃性に優れ、低比重(0・2~0・4)であるため、サンドイッチ構造体の高性能化と軽量化を実現する。実証モデルとして、自動車ルーフの大型パネル部材をプレス成形機にて成形速度10倍の5分で成形し、剛性試験、塗装性および遮音性など自動車向け実用性を評価し、従来スチール製と等価剛性で50%の軽量化を達成した。さらに、特に重要となる落錘衝撃試験では、スキンコアの界面剥離を発生させず、優れた衝撃吸収性の発現を確認した。

 同社は今後、軽量化と高レート生産を同時に実現する同技術を提案することで、多様化するニーズを取り込むべく、研究・技術開発を推進していく。将来的には、軽量素材の価値を最大化できるUAMやドローンなどのニューモビリティに代表される新領域への展開も目指していくとしている。

 

大型モデル部材

大型モデル部材

 

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