世界経済の減速、歴史的な円高など当社を取り巻く環境は引き続き厳しい。 こうした中、当社としては、不採算事業の整理・撤収、徹底したコスト合理化、為替相場変動の影響の緩和策など、短期的な業績改善策を引き続き全力で実施し、同時に、長期経営ビジョンに基づいて定めた中期経営計画の基本的な取り組みを着実に進め、次の飛躍につなげていきたい。当社の現在の重要課題は、「財務基盤の強化」、「グローバル経営の深化」、「次世代事業の開発」である。「財務基盤の強化」は、当社が戦略上の自由度や機動性を確保し、将来、さらなる成長につながる事業機会をしっかりとつかんでいくためにも欠かすことができない。現在進行中のプロジェクトからの投資リターンを早期に最大化すると共に、投資をキャッシュフローの一定範囲内を目処に厳選することとし、さらに、運転資金の削減目標を着実に達成することで資産回転率を向上させ、財務基盤の強化を図りたい。「グローバル経営の深化」については、各事業について、市場、コスト、技術、事業環境の全ての要素をグローバルな観点から勘案し、最適な組み合わせを実現させていくことが肝要。激しい変化に素早く対応し、どのような事業環境においても収益を確保できる事業構造を構築するため、「最適なグローバル化」の実現に向けて取り組みたい。さらに、環境・エネルギー、ライフサイエンス、ICTの各分野において、「次世代事業の開発」を早期に進め、将来のコア事業として重点的に育成を図っていくことで、地球規模の課題の解決に貢献するとともに、住友化学グループの持続的な成長につなげていきたい。また、将来の成長に向けた取り組みとともに企業活動の基盤整備も重要である。①リスク・マネジメント、②安全、コンプライアンス、③レスポンシブル・ケア、④CSR活動、⑤ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランスの推進についても引き続き取り組んでいきたい。 加速する「グローバリズムの時代」の中で世界的な競争に打ち勝ち、収益をあげていく必要がある。これからますます、ビジネスの前線で、人種、言葉、文化、習慣が異なる相手と一緒に仕事をする、協調関係を築く、あるいは交渉をする機会が増える。そうしたときに大切なのは、多様性の理解と密なコミュニケーションで相互理解を深めることである。さらに、海外のビジネスプレーヤーと互角に戦うために、プロフェッショナリズムとプラグマティズムに裏打ちされた行動によりスピード感を持って成果をあげていくことが大切である。各人がこれまで以上に、「グローバリズムの時代」に必要な資質、能力を磨くとともに、実践や実用を重視する姿勢を心がけることを期待している。 厳しい事業環境が続くが、グローバルにチャレンジする精神を大いに発揮し、住友化学グループ一丸となって困難を乗り越え、次なる飛躍に向かって前進していきたい。
2012年01月09日