三菱ケミカルグループは2月20日、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化に向け、東京海上日動火災保険(東京海上日動)およびABTと共同で、使用済自動車からアクリル樹脂を回収するためのスキームについて実証実験を開始すると発表した。
同社グループは、世界有数のアクリル樹脂メーカーであり、製造のみならず廃棄・回収されるアクリル樹脂をケミカルリサイクルして再利用する事業の本格化に向けて取り組んでいる。東京海上日動は自動車保険業を運営する中で、自動車事故等による保険金の支払いに伴い多数の使用済自動車を取得している。ABTは東京海上日動から委託を受ける形で、全国各地の解体業者とともに使用済自動車のリユース・リサイクルを含めた適正処理を行っている。
同社グループ、東京海上日動およびABTは、東京海上日動およびABTが持つ使用済自動車処理のネットワークを活用し、テールランプ等のアクリル樹脂を回収するスキーム構築を目指す。まずは、2023年3月から関東地区において、1000台ほどの使用済自動車からアクリル樹脂を回収する実証実験を開始する。実証実験を踏まえて、オペレーション・素材の品質・コスト等の検証を行い、2024年度にも全国ネットワークでの取り組みに拡大していくことを目指す。自動車保険のネットワークを活用して、使用済自動車からアクリル樹脂を回収する試みは、国内初の取り組みとなる。
同社グループでは、マイクロ波を使ってアクリル樹脂をリサイクルする実証実験を行っており、2024年度のリサイクルプラント稼働開始を視野に、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化を目指している。同社グループは、リサイクル技術の確立と並行して、多方面の市場から回収するスキームの検討を行っていくことで、アクリル樹脂リサイクルシステムの社会実装に向けた準備を進めている。