三井化学は2月20日、東日本旅客鉄道、ビーエステクノおよび同社の3社が、防音壁製品の共同開発をしたと発表した。開発された防音壁製品は、上越新幹線や東北新幹線の速度向上に伴う環境対策工事で導入が進められている。
開発した製品のうち、防音壁に用いる吸音材については、吸水しにくい中綿を使用し、撥水性のある不織布で覆うことで、耐水性を向上させた全天候型吸音材を開発した。また、防音壁については、従来の先端改良型防音壁(NIDES)を大幅に軽量化した軽量型先端改良防音壁(NIDES―AL)を開発した。
導入状況については、上越新幹線速度向上に伴う環境対策(導入済み)では、「全天候型吸音材」高崎~新潟間4・7km、「NIDES―AL」高崎~上毛高原間30・0mとなっている。また、東北新幹線速度向上に伴う環境対策(導入予定)では、「全天候型吸音材」盛岡~新青森間1・3km、「NIDES―AL」盛岡~新青森間2・1kmとなっている。
全天候型吸音材は、吸水しにくい中綿を撥水性不織布で全面を覆う(ハイブリットフルカバー構造)ことで防水効果を高め、湿潤な環境でも高い性能を発揮できる。製品の特性を生かし、融雪散水区間に導入されている。また、リサイクル由来原料を25%程度含有しており、環境に配慮されている。全天候型吸音材の開発会社は、東日本旅客鉄道、ビーエステクノ、三井化学となっている。
NIDES―ALは、重量を従来比の35%に大幅に軽量化、ハンドルの設置により施工性を向上させている。従来、施工が難しかった箇所でも線路側からの設置が可能となり、コスト低減を図ることができる。用地等により重機が線路脇まで入れない箇所や架線の停電が取りにくい場所で導入されている。開発会社は東日本旅客鉄道、ビーエステクノとなっている。
同社は今後も、環境に配慮した技術開発を進め、ESG経営の実践に取り組んでいくとしている。