横河電機は2月27日、OpreX Realtime OS―based Machine Controllers(e―RT3)のオプションサービスとして、装置を制御するエッジコントローラ上で自律制御AI(FKDPP)を活用できるサービスを開始すると発表した。
同サービスは、制御箇所に応じて、パッケージあるいは導入支援のコンサルティング、トレーニングプログラムを提供するもので、パッケージに関しては国内および海外において、コンサルティングサービス、トレーニングプログラムについては国内から順次海外に提供していく。
FKDPPによる制御は、PID制御、高度制御(APC)とは異なる新しい制御技術となる。同社は2022年に、このAIを利用し、制御の状態を乱す大きな「外的要因(外乱)」もある中、世界で初めて、化学プラントで既存の制御手法が適応できず、「手動制御のみでしか対応できなかった箇所」を35日間、自律制御することに成功した。
同サービスは、この自律制御AIでAI制御モデルを作成し、エッジコントローラに実装して活用するもので、以下のような特長と導入メリットがある。
特長
①AIの高度な専門知識なしに、お客様側で制御モデルを生成してコントローラに組み込めるよう、使いやすさを追求している。
②既存の設備を活かしながら部分的にエッジコントローラを後付けすることで、自律制御AIが適用できる。
③制御周期は0・01秒から対応しており、高速性が求められる装置の制御にも対応可能となっている。
導入メリット
①手動制御しかできなかった箇所の自律化
特にPIDやAPCが組めなかった制御箇所に対して、自律化と最適制御を同時に実現できる。安定した制御ができる。
②オーバーシュートを抑制
オーバーシュートを抑えるヒーターへの負荷を低減するため、装置の寿命を延ばすことなどが見込まれる。
③整定時間を大幅に短縮
PID制御に比べ、整定時間を大幅に短くするため、省エネと生産性の向上に貢献する。
④相反する複雑な条件を満たすことも可能
品質を維持しながらエネルギーの使用量を削減するといったような、複雑な条件を満たすことも可能となる。