ダイセルは3月1日、機能性食品素材のウロリチンAに関する研究開発について、令和5年度日本栄養・食糧学会技術賞を受賞したと発表した。同賞は、栄養科学または食糧科学の発展に貢献する産業上の技術開発として認められたものを対象に、日本栄養・食糧学会が授与するもの。
ザクロに含まれるエラグ酸の腸内代謝物の一つであるウロリチンAは、細胞の再活性化によりさまざまな健康効果を期待できる機能性食品素材で、同社が世界で初めて発酵法による商業的な生産に成功した。エラグ酸からウロリチンAを生産するためには、それぞれ別の菌による2系統の発酵を進める必要があるが、同社はその菌を同定、これを複合的に培養する方法を編み出し、2021年5月には製品名「ウロリッチ」として販売した。並行して、ウロリチンAの機能性評価についてさまざまな大学と共同研究を行い、肌機能、抗アレルギー機能、破骨細胞の分化抑制機能などの研究成果について、知的財産の権利化を進めるとともに対外発表をしている。また、血管内皮機能については、ヒト試験において有効な結果を得て、日本栄養・食糧学会での学会発表および学術誌「薬理と治療」での論文発表を行った。
同社は今後も、ウロリチンAの機能性を解明し、細胞活性効果によるヘルスケアを提案していく。また、ウロリチンAの製法開発で得られた効率的に腸内代謝物を製造する知見を、新たな機能性食品素材の開発に生かしていくとしている。なお、同賞の受賞講演は、第77回日本栄養・食糧学会大会(2023年5月12日)にて行われる予定となっている。