成形用シリコーンゴム開発 信越化学、高圧ケーブル被覆に

2023年03月06日

ゴムタイムス社

 信越化学工業は3月2日、車載向け高圧ケーブルの被覆材に最適な成形用シリコーンゴム「KE―5641―U」を開発したと発表した。

 電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)では、駆動システムの高電圧・大電流化が進んでいる。これにより、EV、HEV向けの高圧ケーブルには高い耐電圧特性が求められることから、従来の被覆材を用いた場合、絶縁性能を確保するためにケーブルの被覆層が厚くなるため、柔軟性が失われるという課題がある。一方、自動車メーカーからは配線作業がしやすい柔軟性に優れた高圧ケーブルが求められている。

 同社が独自に開発した「KE―5641―U」は、これらの課題の解決に資する成形用シリコーンゴムとなる。同新製品が持つ高い耐電圧特性により、高圧ケーブルの被覆層を薄くしても絶縁性能を確保できる。また、被覆層の薄さはケーブルの柔軟性向上に繋がるとともに、ケーブルの細径化、軽量化を実現する。

 同製品の主な特長として、①業界トップレベルの高い耐電圧特性を実現。絶縁破壊の強さは40kV/mm(同社従来品は26kV/mm)、②シリコーンゴム製のため、耐熱性、耐寒性、耐候性、難燃性など、数多くの優れた特性を兼ね備えている、③非シリコーン系の被覆材料と比較して、長期信頼性に優れている、の3点が挙げられる。

 新製品は、車載以外の産業機械、鉄道設備、エネルギープラントなどに用いられる高圧ケーブルの被覆材にも使用でき、高性能化や信頼性の向上に寄与する。

 同社は、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かして高機能のシリコーン製品を開発し供給することで、顧客のさまざまな課題解決に努め、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。

 

高圧ケーブル

高圧ケーブル

配線イメージ

配線イメージ

 

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