住友ゴムがCE構想発表 27年に次世代EVタイヤ発売

2023年03月10日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は3月8日、タイヤ事業における同社独自のサーキュラーエコノミー構想である「TOWANOWA(トワノワ)」構想を策定し、同日発表会を開催した。トワノワは同社独自のタイヤ事業のサーキュラーエコノミー構想で、地球環境とモビリティ社会に永遠(TOWA)の輪(WA)を生み出し、持続可能な未来の実現に貢献したいという意味を込めて名付けた。
 同構想は、タイヤ事業における「企画・設計」、「材料開発・調達」、「生産・物流」「販売・使用」、「回収・リサイクル」の5つのプロセスで構成された「サステナブルリング」と、同社独自のセンシング技術「センシングコア」が収集した各プロセスにおける原材料やタイヤ使用データなどのビッグデータを連携させてシミュレーション技術・AI技術を進化させる「データリング」の2つの取り組みの軸で構成されている。
 山本悟社長はトワノワ構想について「世界的にサーキュラーエコノミーの実現が急務となっており、モビリティ業界でもCASEおよびMaaSの変革を求められている。当社はトワノワの活用により新たな価値を提供することで、次世代モビリティ社会をはじめとした持続可能で安全安心快適な社会の実現に貢献してたい」と意気込みを語る。
 同構想では「サステナブルリング」と「データリング」の2つのリングを密接につなげることで、資源の有効活用とCO2削減はもちろん、安全で高機能なタイヤの開発やソリューションサービスの拡充など顧客への新しい価値提供を目指す。
 サステナブルリングに含まれる企画・設計プロセスでは、タイヤの高機能化と資源の有効活用を通じてタイヤの軽量化・低燃費・ロングライフ化に取り組む。2027年にはタイヤ重量を20%軽量化し、転がり抵抗を30%低減した次世代EVタイヤの発売を目指す。
 材料開発・調達プロセスでは、資源循環の促進とCO2削減を通じてサステナブル原材料比率を2030年に40%、2050年に100%を目指す。また、2030年のサステナブル原材料比率40%のうち10%をリサイクル材料に引き上げることも発表した。
 生産・物流プロセスでは、タイヤ鮮度管理効率化・在庫滞留抑制・物流効率化を通じて必要なものを必要な時に必要量だけ供給するジャストインタイムでの供給実現を目指す。また、今年1月には福島県白河工場で水素ボイラーと太陽光発電の自然エネルギーを利用したクリーンエネルギーでのタイヤ生産製造時(Scope1、2 )カーボンニュートラルの達成に成功。今後は同工場の技術を国内外の工場へ展開することを検討する。
 販売・使用プロセスでは、センシングコアによるビッグデータを活用して顧客にタイヤ情報を提供するタイヤ適正管理サービスと顧客に最適なタイヤの提案に取り組むだけではなく、センシングコアが収集したデータを製品開発にもフィードバックする。これにより2024年には路面状況の変化に応じて最適な性能を発揮するアクティブトレッド技術を搭載した次世代オールシーズンタイヤの商品化を目指す。
 こうした取り組みを通じ、同社では「センシングコアの5つの検知機能である、路面状態、タイヤ荷重、タイヤ摩耗、タイヤ空気圧、車輪脱落予兆検知を搭載した車種を2030年に日本や中国、欧米などで走る世界を実現していきたい」と言及した。
 回収・リサイクルプロセスでは、リトレッドタイヤの推進と廃タイヤのタイヤ原材料としての活用を目指す。また、タイヤのマテリアルリサイクル実現のために他業種との連携も視野に入れているとしている。

あいさつする山本社長

あいさつする山本社長

[/hidepost]

 

全文:約1499文字

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー