BASFは、1998年に自社のポリエステル技術を応用して開発した生分解性機能を持つ脂肪族/芳香族コポリエステル「ecoflex(エコフレックス)」と、エコフレックスとポリ乳酸、その他素材を複合化したコンパウンド「ecovio(エコバイオ)」を展開している。
エコフレックスは、生分解性、機械的強度、加工性のバランスを最適化し、芳香族という特徴を有する。主原料のテレフタル酸、ブタンジオール、アジピン酸を自社生産しており、原料からの一貫生産している点も強みだ。
これら特徴を活かし、フィルム時の引裂き強度や破断強度、破断伸びが非常に大きい。また、低温での耐衝撃性にも優れていることから、寒冷地での使用にも耐えうる性能を有している。
エコフレックスのプラントは、ドイツ本社のルートヴィッヒスハーフェンにあり、生産能力は年産6万t。また、パートナー企業のレッド・アベニュー・ニュー・マテリアルズ・グループ(中国)がライセンス供与のもと年間生産能力6万tのPBATの新プラントを上海に建設し、同社の生産技術を用いてBASFが販売するエコフレックスの生産を22年からスタートした。現在は2拠点での生産体制となり、供給の安定性や柔軟性を向上させている。
加工面では、ポリエチレン(PE)やその他の軟質材料と同じ加工機械を用いることできる。インフレーション成形やTダイで加工されることが多い。また、延展性に優れているため、10μm程度までの薄いフィルムへも加工可能なほか、ヒートシールや印刷も可能だ。
エコバイオも様々な加工法を想定した配合設計を行える強みを活かし、各種用途に応じたグレード展開に注力中だ。日本市場では農業用マルチフィルム用グレードの「エコバイオM2351」の提案に力を入れている。農業用マルチフィルム市場の成長に伴い、年々同グレードの販売量は伸びている。
その他では、フィルム・シート用の「エコバイオF2224」を始め、紙ラミネート用の「エコバイオPS1606」、真空成形用グレード「エコバイオTA1241」、射出成形用グレードの「エコバイオIA1452」なども提案を進めている。
日本市場における事業展開では、エコフレックスとエコバイオを通じて、生分解マルチフィルムの普及拡大を継続していく。自社のリソースに加え、これまで培ってきた同社のビジネスネットワークを武器に、外部企業や関係機関との連携も積極的に活用していく。「1社のソリューションだけでは完結できないケースも多く、同業企業との協業も不可欠になる」(同社)としている。
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