ハイケムは3月10日、同社と富山大学、千代田化工建設が、CO2を原料としたパラキシレンの製造、ならびにその単離に成功したと発表した。
CO2を原料としたパラキシレンの製造については、NEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO2利用技術開発」事業に、富山大学、千代田化工建設、ハイケム、日鉄エンジニアリング、日本製鉄、三菱商事が共同で採択され、同件の共同研究を進めている。
千代田化工建設は子安リサーチパーク内にパイロットプラントを建設、同パイロットプラントにハイケムが富山大学の研究成果を基に製造した工業触媒を充填し、2022年3月より順調に稼働し続け、CO2を原料としてパラキシレンをメインとする化合物を製造してきた。また、これまでの稼働期間中に製造した化合物を外部機関に依頼し、従来技術を用いてパラキシレンを単離することに成功した。今後は、このCO2由来パラキシレンの事業化を、関係各社と共同して加速していく。
火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策として重要であり、またCO2を資源として捉えて、回収し、有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められている。経済産業省において2019年6月に策定(2021年7月に改訂)された「カーボンリサイクル技術ロードマップ」では、CO2を素材や燃料へ利用することなどを通して、大気中へのCO2排出を抑制していく方針が示されている。
こうした中、NEDOは、既存の化石燃料由来化学品に代替することを目的とする化学品へのCO2利用技術の開発として、CO2を原料とするパラキシレン製造に関する世界最先端の技術開発事業への取り組みを支援している。
同社らは、円滑な事業化とCO2排出削減の可視化、その価値の確実な市場への提供を目的とし、CO2由来パラキシレンを既存パラキシレンのサプライチェーンへ組み込むことが可能であるマスバランスアプローチを含めて検討を進めている。