ポリプラスチックスは3月13日、バイオマス素材であるセルロースを使用し、通常のガラス強化樹脂に比べ密度が小さく、温室効果ガス(GHG)の排出量を大幅に削減したPLASTRON LFT(Long Fiber Reinforced Thermoplastics)長繊維セルロース強化樹脂を開発したと発表した。
環境対応材料に必要な要件のひとつとして、バイオマス原料の使用がある。バイオマスとは、石化資源を除く生物由来の有機資源であり、①カーボンネガティブ(空気中の二酸化炭素を吸収して製造される)、②サステナブル(天然鉱物等とは異なり持続可能な調達原料である)という2つの特徴がある。
バイオマス原料のひとつであるセルロースは、生体内において植物や木材の形態を維持・保護する構造材料で、優れた分子構造・高次構造を有していることから、樹脂補強材としての使用に適している。
同社が今回開発したPLASTRON LFT長繊維セルロース強化樹脂は、廃棄物をほとんど発生させない「溶剤法」で作られた再生セルロース繊維を採用している。溶剤法を採用したPLASTRON LFT長繊維セルロース強化PP樹脂は、一般的なガラス繊維強化PP樹脂と比較して、製造時の温室効果ガスの排出量が小さいことが確認できる。また、ガラス繊維強化PP樹脂よりも密度が1割近く低いため、同じ体積で比較すると温室効果ガス排出量もさらに少なくなる。
同樹脂は、機械物性はガラス強化材料とほぼ同等でありながら、環境に配慮した製品開発を可能にする。同社は、自動車のドアモジュールやセンターコンソール、アームレストの芯材等として採用を見込んでいる。