住友ゴム、バイオポリマー合成など タイヤテクノロジーエキスポで受賞

2023年03月24日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は3月22日、3月21日から23日にドイツ・ハノーバーで開催された「Tire Technology Expo2023」内で開かれた「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」において、「バイオポリマー合成の研究」が最先端の材料研究に贈られる「Materials Innovation of the Year」を、「酵素評価方法の発明」が研究におけるブレークスルーに贈られる「R&D Breakthrough of the Year」をそれぞれ受賞したと発表した。
 3月21日に開催された授賞式には、材料開発本部材料企画部課長宮城ゆき乃氏、Sumitomo Rubber Europe GmbH マネージングディレクター Dr.Bernd Löwenhauptが出席し、「多くの研究者との共同研究成果による受賞であり、プロジェクトの関係各位に感謝する。当社グループは、サステナビリティ長期方針に基づき、持続可能な社会の実現に取り組んでいる。天然ゴムを持続可能な資源とするために、関係する皆様と協力して様々な活動を推進するとともに、先進的な研究を継続することで、原材料の安定供給および環境負荷の少ない製品提供を通じて、持続可能な社会の発展に貢献していく」と述べた。
 バイオポリマーの合成は、東北大学、金沢大学、埼玉大学、理化学研究所と共同で、天然ゴム合成酵素と類似した構造を持つトマト由来酵素の研究を進め、自然界に存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功した。
 概要としては、大型放射光施設「SPring-8」を活用して、天然ゴム合成酵素と類似した構造を持つトマト由来の酵素の構造を解明、天然ゴムの鎖長制御に重要な天然ゴム合成酵素の部位を特定。この重要部位をトマト由来酵素に組み込んだ「改変トマト由来酵素」を触媒として、自然界には存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功、「改変トマト由来酵素」を触媒とすることで、トマト由来酵素が本来用いる先頭モノマー以外のモノマーを使用可能であることを発見。この特性を利用することで、先頭モノマーを選択した全く新しいバイオポリマーの合成に成功となる。
 酵素評価方法の概要としては、埼玉大学、東北大学、金沢大学との共同研究により、人工膜(ナノディスク)を用いた酵素評価方法を発明した。従来は天然由来の膜を使用しており不純物の混入が課題だったが、より精度の高い評価が可能になった。さらに、人工膜上での天然ゴム合成酵素の機能発揮にも成功した。
 「Tire Technology Expo」は、2001年より欧州で開催されているタイヤ製造等に関する技術発表・展示会で、タイヤメーカーをはじめ素材メーカー、公的研究機関などがその研究成果を発表し、12の分野で優秀な技術を表彰するもの。
 今回の受賞について同社は、同社の材料開発における先進的な取り組みと、高い技術力が認められた結果であると考えている。今後もさらに研究を進めることで、天然ゴムの安定供給とともに、安全・安心で環境負荷の少ないタイヤの提供を通して、持続可能な社会の発展に貢献していく。
 なお、同社の「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」での受賞は、2010年の「第4世代ランフラットタイヤ技術」、2017年の「新材料開発技術ADVANCED 4D NANO DESIGN」、2019年の「SENSING CORE」、2022年の「性能持続技術」に続き、今回で通算6回となる。

授賞式の様子

授賞式の様子

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