出光興産は3月24日、特約販売店と協働し、同社系列のサービスステーション(SS)「apollostation」を、それぞれのまちと人の豊かな暮らしをサポートする生活支援基地とする事業領域「スマートよろずや」の取り組みを進めていると発表した。
この取り組みの一環として、出光リテール販売が運営する愛知県内のSS3か所において、VRゴーグルを用いた「脳機能測定」のサービスを3月25日から期間限定で提供する。この測定では、最先端の技術で脳の認知機能の低下を最初期段階で発見することができる。
高齢化の進展に伴い、日本では認知症を発症する人の数は増加傾向にあり、介護負担の増大、患者や家族の社会的孤立など多くの深刻な問題を引き起こす一因となっている。
しかしながら認知症の治療法は現在完全には確立されておらず、認知症発症予防は患者への対応と並ぶ重要な課題となる。
認知症のうち最も発症割合の高いアルツハイマー型は、脳に蓄積した異常タンパク質が、神経細胞を破壊し脳が萎縮することにより発症する。異常タンパクの蓄積は数十年をかけて徐々に進むが、従来の認知症検査では軽度認知障害(MCI)に至る段階まで、その判定ができなかった。今回提供する脳機能測定は、脳の健康維持サービスを開発・提供するMIGが開発した、早ければ40歳代から始まっている脳神経破壊の状況を予防の効果が高い最初期段階で可視化できる測定となる。
VRゴーグルによる空間ナビゲーション機能と空間学習能力の測定結果に基づき、脳機能の診断と、アルツハイマー型認知症の発症予防に向けた行動変容を促すレポートを受診者に提供する。これにより、認知機能の更なる低下やアルツハイマー型認知症の発症予防のみならず、生活習慣病の予防にも寄与するアクションを早い時期から実行できる。
同社は 2022年11月に発表した 「中期経営計画(2023~2025年度)」において、一歩先のエネルギー(多様で地球環境に優しいCNエネルギーの安定供給)、多様な省資源、資源循環ソリューション(産業活動、一般消費者向けのCNソリューション)、スマートそろずや(地域の暮らしを支える多様なエネルギー&モビリティ拠点)の3つの事業領域の社会実装を通じ、事業ポートフォリオ転換を推進することを表明した。
同社は、全国の系列 SS「apollostation」を、それぞれのまちのニーズに即した生活支援基地「スマートよろずや」に進化させる取り組みを進めている。
特に高齢化の進展により、高齢者福祉やヘルスケアに関する社会的なニーズは高まっており、このニーズに対応したサービスを提供する拠点として全国津々浦々に所在するSSを活用する意義は大きいと考えている。
今回のSSにおける脳機能測定サービス提供は、地域にお住まいの方が健康を維持するきっかけをSSで提供することで、お客様の生活支援基地としてのSSの利便性向上を図ること、また当該サービスへのニーズを確認することを目的としており、今後は他の地域での展開可能性も検討していく。
2023年03月28日