東洋ゴム 年頭所感 中倉健二社長

2012年01月16日

ゴムタイムス社

 新年明けましておめでとうございます。昨年の幕れに東京モーターショーを見て回りました。カーメーカー各社さんでは、環境をテーマにしたアピール内容が印象的でした。国内メーカーは6重苦、さらには東日本大震災やタイの洪水被害、台頭する韓国勢のシュア拡大など、数々の厳しい状況にさらされながらも、こと技術においては、他国に一歩も二歩も先をリードしているという手応えを感じるとともに、自動車産業の一端を担う者として心強い思いを抱きました。
 原燃料の高騰という市場経済の影響、また、超円高進行、欧州金融不安、新興国産業隆盛といったグローバル経済の影響に対して、我々製造業は打ち克っていかねばならず、どこであっても企業経営の舵取りは生易しいものではなかろうと思います。さらには予期せぬ天災に見舞われるなど、試練が続いています。
 ピンチは最大のチャンスであります。その機会をどう受け止め、どう行動するかで次の伸びシロが決まります。並大抵のことではありませんが、しかし、今こそ自らの技術を磨き、自信を持ってその価値を世の中に届けようという「挑戦」が、我々製造業には必要だと思っています。
 今や時代の風は、自動車に「環境性能、低燃費化への対応」を求めており、自動車産業に携わる誰もがその技術を切磁琢磨しています。自動車1台が履くタイヤ4本で劇的に地球環境を改普できるわけではありませんが、今、地球上で人類が使用している自動車のボリュームを考えるとき、果たすべき責任、そして環境性能を向上させる意義、価値は大変大きいと思います。
 一昨年、日本におけるタイヤの環境性能基準ともいうべきラべリング制度が導入されてから、当社は他社に先駆けて「AAAーc」という当時最高レベルのグレードを満たした低燃費タイヤ「SUPER ECO WALKER」を発表しました。そして昨年12月、ナノレベルの領域でゴム材料の開発を制御する独自の「Nano.Balance Technology」を確立し、本年2月に、日本で初めて「AAAーb」を達成した「NANOENAGYJを、市場にお届けできる準備が整いました。当社の技術の粋を集めて誕生した新しいこのタイヤにご期待いただきたいと思います。
 昨年はグループ入りしたマレーシア・シルバーストン社が本格稼動し始め、6月に中国で東洋輪胎(諸城)有限公司が稼働、12月には中国江蘇省張家港市で東洋輪胎張家港有限公司が竣工しました。グローバル生産供給体制の整備を着々と進め、より多くのお客様に我々の商品をお届けできる基盤を精力的に整えています。
 本年は、中期経常計画「中計‘11」、長期経営ビジョン「ピジョン’20」の2年目となります。経営を取り巻く環境は必ずしも順風ではありませんが、経営の体質を強化していく正念場として挑戦を続けます。どのような風が吹いても、自らの技術を深化させ、付加価値の高い商品群をより多くの皆様にご提供し、喜んでいただくことが我々の使命です。
 最後になりましたが、タイヤ産業に携わる皆様方にとって、良い年になりますことを祈念して年頭の挨拶とさせていただきます。

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