住友理工は3月27日、ギンレイラボと共同で開発を進めている、医薬品などの効能確認や安全性評価で使用される生体模倣システム(MPS)のプロトタイプが完成し、3月下旬に京都市内で開催された「第22回日本再生医療学会総会」で発表したことを発表した。
近年、医薬品・化粧品・化学物質・⾷品・農薬の効能確認や安全性試験において、試験結果の妥当性確保や動物福祉(アニマルウェルフェア)などの観点から、動物実験を行わず、代替ツールを利用して検証することが世界的な潮流になっている。特に医薬品・化粧品分野で、iPS細胞などのヒト由来細胞を用いた細胞培養デバイスの開発が進められている。
MPSは、生体内の臓器の機能や疾患状態を生体外で模倣した細胞培養デバイスで、同社は、コア技術である流体搬送・シーリング・微細加工の各技術の融合により、培養液送液システムの開発に着手、ギンレイラボが販売している水平型の共培養容器と組み合わせて、従来の縦型では再現が困難だった多臓器連結が可能となるMPS(プロトタイプ)を開発した。
現在同社は、同MPSを用いて、がんの転移において重要な役割を果たすことで知られているエクソソームの評価を進めている。
同社は今後、プロトタイプをブラッシュアップし、将来的には、血液の循環を模倣した灌流型の送液システムや特定の疾患に特化したMPSのカスタム開発など、動物実験代替ツールの発展に貢献していきたいとしている。