ランクセスは3月29日、同社の完全出資子会社で受託製造会社のサルティゴが製造・販売する虫よけ剤の活性成分「サルチジン」の2022年売上が過去最高を達成したことを発表した。「サルチジン」の売上高は昨年、約20%増加した。
「サルチジン」は、活性成分イカリジンの製品名で、多くの虫よけ剤に含まれ、蚊やダニなどの害虫から人や動物の皮膚を保護する役割を担っている。この製品は、特に米国やアジア太平洋地域で需要が増大しており、売上が増加しているが、需要は欧州でも拡大している。その理由は気候変動によるもので、欧州には外来種の蚊も生息していることが理由として挙げられる。
「サルチジン」は、昆虫やダニの嗅覚を遮断する働きをする。昆虫やダニは、血液の通った人や動物の匂いや香りを知覚するが、サルチジンは皮膚に膜を形成し、人や動物の放つ匂いを隠すことができる。その結果、ダニや昆虫は、人や動物を食料源として認識しなくなる。
サルティゴは、レバークーゼンとドルマーゲンにある生産工場で「サルチジン」を製造している。この活性成分は皮膚にとても優しく、アレルギー疾患を持つ患者や妊婦、子供など皮膚に敏感な人を対象とした虫よけ剤としても適している。