日本ゴムホース工業会 年頭所感 十川敬夫会長

2012年01月16日

ゴムタイムス社

 平成24年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 さて平成23年の日本は、3月11日の東日本大感災及び同時に発生した福島原発事故の影響を受け、日本の経済成長力が削がれただけでなく、甚大な被害を受ける結果に至りました。その後、寸断したサプライチェーンの復旧により、第3四半期は4四半期ぶりでプラス成長となっておりますが、10~12月期はヨーロッパの信用不安の拡大や歴史的な円高、さらにタイの洪水被害による悪影響により、景気の先行きは減速する懸念が強まっております。
 このような状況下で昨年のゴムホース生産は、主要な需要先である国内の自動車生産が7月までは深刻な減産状態にありましたが、その後は回復傾向にあります。土木建設機械と工作機械は一昨年当初より上昇傾向で推移しており、今後もこの傾向が継続するものと思われます。又一般産業分野の設備投資も全般的に回復基調にあったことにより、年間で3万5290トン(新ゴム量)、前年比2・5%減とまずまずの結果となりました。出荷金額も前年比2・8%減の1310億円になろうかと存じます。
 次ぎに、昨年の輸出入について述べさせて頂きますと、輸出は全体の50%であるアジア向けが前年対比5%増と順調であり、その他の地域向けも北米向けを除き順調であったため、年間の総輸出額は前年比約2%増の420億円強を見込んでおります。
 輸入につきましては、9月までの国内自動重用ホース需要減により、年間通期の総輸入額は、前年並み・110億円強の見通しでございます。
 さて、本年の世界経済の成長見通しは、回復の基調が極めて不明瞭であり、米欧が苦戦する中で、世界経済を牽引していくであろうと論じられておりました中国やインド等の新興国に翳りが見える状況が更なる懸念材料となっております。
 このような客観情勢下における日本経済の緊急課題は、歴史的な円高及びデフレ対策であり、政府主導により確固たる方向性を見出し、景気対策に全力を挙げることであろうかと存じます。
 本年のゴム業界の最大の課題は、不透明感の強い実体経済回復とその需要動向への対応、体質強化を如何に遂行できるかという視点に尽きますので、これまで以上の原点を見据えた企業努力が肝要と存じております。
 こうした情勢を前提と致しまして、本年のゴムホースの生産予測量は、前年比10%増となる3万9200トン、出荷金額も前年比約10%増の1460億円になるものと予測致しております。
 品種別には、生産構成の約70%を占める自動車用ホースは、国内の自動車生産台数に不安要素がありますが、昨年の減産要因が払拭されるため、年間を通じて増加傾向を辿るものと予想されます。
 このような環境を考慮の上、年間で前年比15%増と予測致しております。
 また、構成比約12%の高圧用ホースに関しましては、土木建設機械及び工作機械の需要増が継続するとの見通しに基づき、昨年から7・5%増との予測を立てております。
 その他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン、送水・吸上用)、マリンホース(大口径耐油)、LPGホース、耐油ホース(耐圧70%未満)、耐摩ホース、スチームホース、灯油ホース、その他ケミカルホースにつきましても一般産業分野の需要が前年並みのレベルで推移すると見ておりますので、年間で前年とl同等程度の予測であります。
 以上の如く、本年のゴムホース生産は、昨年比で見ますと比較的安定飛行状態で推移するものと見通しております。
 次に本年の輸出について申し上げますと、円高の影響を加味し、北アメリカ向けの減少を見込んで、アジア向けが中心となる展開になるものと想定しますので、前年比8%減の390億円と予測致しております。尚、輸入につきましては、国内の自動車用ホースの輸入動向を考慮し、前年比微減の約100億円強程度と予測致しました。
 このような予断を許さない厳しい業界動向の中で、私ども工業会は、国際化の進展に伴い、平成12年にISO機関のホース部門で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の事情や考え方をISOに反映させるよう、積極的な働きかけを実施してまいりました。昨年は10月に日本・横浜で開催された第59回国際会議にホスト国として運営し、活動することができました。本年も、Pメンバーとしての更なる活動を推進して参る所存であります。
 何かと解決の難しい問題が山積みしている状況下ではございますが、当工業会といたしましては、今後とも世界をリードする需要な機能部品を供給する社会的責任を果たすとともに、環境問題対応を優先課題とした製品作りに努力して参る所存でございます。
 年頭にあたり、関係各方面の皆々様方のご理解とご支援を衷心よりお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

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