積水化学工業は4月3日、東京大学が設立した未来戦略LCA連携研究機構(UTLCA)内の先制的LCA社会連携研究部門に参画すると発表した。
UTLCAは、2050年に向かう世界的な技術開発と制度形成の機先を制するべく、未来戦略の立案に資する「先制的LCA(ライフサイクルアセスメント) 」の学理を創成する。先制的LCA社会連携研究部門は、有用な先制的LCA手法の開発とその社会実装を目指す。
社会課題解決に資する新技術の社会的価値の創造、普及促進により、持続可能な社会の実現に貢献していく。
LCAとは、製品やサービスについて、その原料調達から製造・輸送・販売・使用・廃棄・再利用に至るライフサイクル全体の環境・社会・経済への影響を定量評価すること。その製品やサービスがカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーなどの持続可能な社会の構築に資する影響を評価する手法となるが、将来の社会においては再生可能エネルギー比率や製品生産に使う資源における使用済製品の比率なども変化するため、このような社会のトランジションを踏まえたLCAが必要とされている。
UTLCAが確立を目指す先制的LCAは、2050年におけるカーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーに資する革新技術の、実装タイミングに合わせた「標準的な」評価手法となる。
同社グループは、長期ビジョン「Vision 2030」において、「Innovation for the Earth」をビジョンステートメントとして掲げ、イノベーションにより「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、未来につづく安心を創造していく」ことを宣言し、脱炭素に資する新技術・新事業に取り組んでいる。
同社は、温室効果ガスであるCO2を化学素材であるCOへ90%という高い転化率で変換する革新的技術を開発し、製鉄時のCO2排出の抑制を大きな課題としている世界鉄鋼大手のアルセロール・ミタル社と共同でプロジェクトを進めている。製鉄時に排出するガスからCO2を分離・回収し、COに変換して製鉄プロセスへの導入・活用を図る。
この技術は、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現に貢献する技術であり、さまざまな産業で活用が期待できる。
社会課題解決に資する新技術の社会実装には、社会に環境価値を普及させることが重要であり、幅広いステークホルダーの理解と共同作業が必須になる
同社グループは、UTLCAで確立する先制的LCAによりそれらを促進するとともに、持続可能な社会構築に資する技術の開発を継続していく。
同社グループは、これからも、持続可能な社会の実現と当社グループの成長の両立を目指して社会課題解決に貢献し、ステークホルダーの皆様に信頼される企業であり続けるための取り組みを進めていく。
2023年04月04日