第45回ゴム産業労使懇談会開く
連合の新谷部長が講演 4つの班別で意見交換も
ゴム連合(瀬尾進中央執行委員長)は昨年12月21~22日の両日にわたり、大阪のホテル大阪 ベイタワーにおいて第45回ゴム産業労使懇談会を開催した。
今回は高齢者問題を取り上げ、連合の新谷信幸総合労働部長が「今後の高齢者雇用に関する厚生労働省研究会の報告」を詳細に解説、そのあとゴム連合がアンケート調査した「加盟単組・企業の高齢者再雇用の状況」について、中央執行委員の藤田行哉氏が報告した。
労使懇談会の冒頭、労使代表のあいさつが行われた。瀬尾委員長は「東日本大震災から日本の景況は大きく様変わりし、この9ヵ月間は企業側も労組も心を一つにして取り組んできた。生産水準も秋口にはほぼ100%のレベルまで戻ったようだが、東北地区の被災状況、福島の原発事故の収束は、まだ時間を要するものと思われる。今後の復興は政治決断をしながらスピードを上げて手を打つ必要があり、一日も早く元気になられることを願う。
今回の労使懇談会のテーマは高齢者対策を取り上げた。ゴム連合が実施したアンケート調査結果では、9割の企業が再雇用制度を導入、運用しているが、法律がこれからどのようになっていくか興味深い。班別の意見交換会も予定しているので、今後予想される課題などを率直に出していただき、有意義な懇談会としたい」などと語った。
続いて来賓の日本ゴム工業会西河紀男副会長が紹介され、同氏は「2011年は異常 気象が続いたが、地球温暖化の影響もあり、単なる気象条件だけでは済まされないのか も知れない。不透明な世界情勢の中で、日本は変化への対応が必要であり、とくに雇用問題は少子高齢化社会で生産人口の減少、さらには海外進出による国内の雇用への影響 などが懸念される。労使が協調してこうした課題に取り組み、最善策を打ち出していくことが重要だと考える」などと述べた。
懇談会は連合の新谷信幸総合労働局長が「今後の高齢者雇用に関する厚生労働省研究会の報告」を解説した。=以下は講演内容の要旨。
少子高齢化が進展し、労働力人口が減少する中、現行の年金制度に基づき、公的年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられることを考えると、無年金・無収入となる者が生じないよう、65歳までは、とくに定年制の対象となる者について、希望者全員が働く ことができるようにするための措置が求められている。
しかし、現行制度では65歳までの希望者全員の雇用を確保することとなっていないため、2013年度からの老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げに伴い 、無年金・無収入となる者が生じないよう、雇用と年金を確実に接続させるため、現行の継続雇用の対象となる高年齢者に係る基準は廃止することが適当ではないか。その際、長期にわたり、労務提供が困難であることが明らかな者の就業規則における取り扱いについて、考え方の整理が必要と思われる。
2025年には65歳以上人口が全人口の3割を超えると見込まれる中で、生涯現役社会の実現が求められるが、高齢期は個々の労働者の意欲、体力などに個人差があること などから、それらに応じて正社員以外の働き方や短時間・短日勤務やフレックス勤務を希望する者がいるなど、雇用就業形態や労働時間などのニーズが多様化している。
生涯現役社会の実現のためには、高齢者も含め、高齢期を見据えた職業能力開発や健康管理の推進が必要であるが、労働者自身の意識と取り組みを前提としつつも、企業の 取り組みの支援など、国としても職業能力開発や健康管理の推進に一層取り組むことが必要。
なお、現在の高齢者など職業安定対策基本方針に定める事項は65歳までの雇用機会の確保を主眼としたものとされているため、生涯現役社会の実現を目指す観点から変更が 必要と考えられる。
このあと、ゴム連合の藤田行哉中央執行委員が「ゴム連合加盟単組・企業の高齢者再雇用の状況」について説明した。
引き続き、4つの班別意見交換会に移り、希望者全員の65歳までの雇用制度について 、①現状の措置の企業ごとの把握②今後の雇用措置方法をどう考えるか③現状の基準設定内容の企業ごとの把握④基準設定の廃止・見直し⑤65歳まで働き続けるための職場環 境や働き方についてどう考えるか⑥高齢者雇用による、新卒・中途採用抑制など企業ごとの影響についてなど。また、無年金における賃金の見直しの必要性については①現状 の賃金水準設定を企業ごとに把握②賃金水準見直しに対する考え方について―など、それぞれ意見交換した。