GSIクレオスは4月4日、生分解性に優れたイタリアNovamont社製の生分解性樹脂「Mater―Bi」(マタビー)を用いて、柔軟性と高い層間強度をあわせ持つ、FDM方式の3Dプリンター用フィラメント「ソフトナチュラルフィラメント」の販売を、同日より開始したと発表した。
「ソフトナチュラルフィラメント」とは、同社の取り扱い商材であるマタビーを用いて開発・実用化した素材であり、この素材の使用により、従来のフィラメントの使用では困難であった柔らかい質感の3Dプリントを可能にし、より幅広い種類の造形物の製作に対応できるようになった。
「ソフトナチュラルフィラメント」の特徴として、以下の3点が挙げられる。
①「柔軟性」と「高い層間強度」の両立
現在、FDM方式の3Dプリンター用のフィラメントには、ABS樹脂およびPLAが一般的に使用されており、それらフィラメントはいずれも硬質な質感であるのが特徴となっている。これに対し、ソフトナチュラルフィラメントは靭性が高く、非常に柔らかい質感を持つため、この特徴を生かして、これまでは製作が難しいとされていた「柔軟性」がありながらも「高い層間強度」を有する造形物の製作が可能となった。
②安定性
3Dプリンター用PLAフィラメントの規格概要(JIS K 6821)における、24時間の連続吐出性試験においても、ノズルを詰まらせることなく製糸し続けることに成功しており、高い安定性が証明されている。
③生分解性
主原料に「マタビー」を用いていることから、高い生分解性を有するフィラメントとなっている。ソフトナチュラルフィラメントで作った造形物は、非分解性プラスチックに比べて、自然に還るまでの時間が短いことから、プラスチックごみによる環境汚染問題に配慮した3Dプリント(製作)が可能となる。
同社は今後、造形物に柔軟性が求められる分野への販促活動を強化し、FDM方式の3Dプリンター用フィラメントの汎用品であるABS樹脂およびPLAに替わる素材として、国内でのシェア拡大を図っていくとしている。