東洋紡は4月3日、同社本社にて入社式を行った。竹内郁夫代表取締役社長が、新入社員に向けて歓迎の意を伝えるとともに、訓示を行った。
竹内社長は「新入社員の皆さんに伝えたいこと」として、まず、「当社の企業理念『順理則裕(じゅんりそくゆう)』とは、創業者渋沢栄一氏の座右の銘の一つ。世の中の困りごとを解決するため事業を行い、その結果として利益を得よという、現代のサステナビリティ(持続可能な社会の実現)にも通じる思想を150年前から持っていた。今度、一万円札の図柄にもなるのは、こうした渋沢氏の先進的な理念によるものと思う。当社の製品と技術で社会課題の解決に貢献し、一緒に渋沢氏の志を実現していこう」と語った。
続いて、「皆さんは、人生の貴重な時間の多くを仕事に充てることになる。苦しく厳しい側面もあると思うが、せっかくなので是非仕事を楽しんでほしい。私の経験をお伝えすると、仕事を楽しむためのコツとは『主体的に考え、前向きに行動する』こと。『自分事(じぶんごと)』として捉えることで、仕事の全体像、自分の役割等が見えてくる。お客様や同僚に喜んでもらえたときや、色々と工夫して何かを達成できたときに感じる『仕事』の面白さは格別。その満足感を早く体験してもらいたいと思う。苦手な業務を通じて自分の能力が広がることもある。未知の分野を避けずに、是非挑戦してほしい」、また、「この4月から、当社と三菱商事による合弁会社『東洋紡エムシー』が始動する。新入社員の皆さんの中にも、東洋紡エムシーで勤務してもらう方がいる。事業環境が大きく、早いスピードで変化する時代にあって、三菱商事という強力なパートナーとともに成長を実現し、機能素材事業を通じて社会をよりゆたかにしていこう。と促した。
竹内社長は最後に、「2011年の東日本大震災から12年が過ぎた。皆さんの知っている方の中にも被災したり、今も苦労されている方がいるかもしれない。1995年の阪神淡路大震災当時には、私自身も西宮で被災した。幸い無事だったが、寒く、不安で、不自由な環境のもとで家族と過ごしながら、私たちは『生きているのではなく、生かされている』ことを実感した。ウクライナでは明日をも知れぬ事態が今も進行している。一日も早く戦争が終わることを祈るばかりです。私たちは、普通に仕事や生活ができることを当たり前のように思ってしまい、つい不平や不満が出てしまう。今一度、ご家族やご親族、友人等、多くの周りの人に支えられ、今の自分があることを考えましょう。多くの方への感謝を忘れないことが、謙虚さ、真摯さにつながります。『ありがとう』という言葉を大切にすることで、働きやすい職場、ひいては充実した人生が訪れると思います。入社してしばらくは緊張の連続かと思う。皆さんの今後の成長に大いに期待しています。これから実習を行う工場や現場では、安全が何より重要です。自分と仲間を守るための誓いを込めて。ご安全に」と締めくくった。