東洋紡は4月6日、同社と三菱商事が、機能素材の企画、開発、製造および販売を行う新たな合弁会社として東洋紡エムシーを設立し、2023年4月1日より事業を開始したと発表した。
脱炭素化の進展や産業構造の変化、技術革新の加速等、機能素材を取り巻く事業環境は大きく変化している。かかる背景を踏まえ、両社は、同社の製品・技術開発力と三菱商事の幅広い産業知見・経営力を掛け合わせ、業界の垣根を越えて持続可能な社会の実現と当該事業の成長を目指すことで、2022年3月24日に合意した。その後、約1年間にわたり、経営方針や事業戦略に関する詳細な議論、同社から新会社への事業分割、三菱商事から新会社に対する第三者割当増資を経て、正式に新会社のスタートを切った。
新会社は、このほど、森重地加男社長(同社代表取締役副社長)、馬場重郎副社長(三菱商事執行役員)らを経営陣とする新体制を発足した。経営ビジョン「高機能素材で世界の課題を解決する」のもと、機能素材業界の枠にとらわれないビジネスモデルの共創やアライアンスの検討を進め、絶え間ない変革を続けていくとしている。
特に、成長分野と位置付ける「環境ソリューション」「モビリティ・電子材料」において、積極的な成長施策を展開していく。「環境ソリューション」分野では、リチウムイオン電池のセパレーター製造工程で排出されるVOC(揮発性有機化合物)等を高効率かつ高純度に回収できる環境ソリューション装置、淡水化用途等の水処理に貢献するアクア膜、世界最高レベルの強度を有する超高強度(スーパー)繊維等、環境負荷軽減に資する同社の製品について、三菱商事が持つ顧客・パートナーとのコネクションを活用し、グローバルな事業展開を推進していく。また、「モビリティ・電子材料」分野も同様に、自動車の軽量化や電装化に求められる同社の高機能樹脂(エンジニアリングプラスチック)や接着剤・塗料原料を、三菱商事が有する自動車OEM等のエンドユーザーとの接点や業界知見を活用しながら事業拡大していく。