レゾナックは4月4日、茨城県神栖市にある五井事業所(鹿島)において、半導体のパッケージング工程(後工程)で使用する接着フィルムである、「ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム」の生産能力を増強すると発表した。主にメモリ半導体向けに使われる同製品の生産は、中長期的に堅調な成長が見込まれており、こうした需要拡大に対応するため、同社は52億円を投じてグループ全体の生産能力を従来の約1・6倍に増やす。稼働開始は2026年の予定。
近年、クラウドサーバーの利用やデータセンター等通信インフラの需要が拡大し、世界のデータ量は増加している。今後もメタバースなど新しいテクノロジーの発展により、世界のデータ量は継続的に増加し、この膨大なデータの蓄積・処理を行う高性能メモリ半導体やAR(拡張現実)/VR(仮想現実)に関連する新たなハードウェア向けメモリ半導体の需要拡大が予想される。こうしたメモリ半導体の需要拡大に伴い、半導体チップを積層する際に使用するダイボンディングフィルムの需要拡大も見込まれている。
ダイボンディングフィルムは、積層化が進む半導体チップの接着に不可欠な超薄型フィルム状接着剤であり、同社は世界トップシェアを有する。同社ラインアップの一つである、「ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム」は、ウエハから半導体チップを切り出す際に使用するダイシングテープの機能を併せ持つ一体型フィルムで、ウエハ裏面へのフィルムの貼付けを一度に行うため、顧客の製造工程の短縮に貢献している。一体型フィルムへのニーズは強く、ダイボンディングフィルムの市場も成長していることから、同社は同製品の能力増強を決定した。
同社グループは、半導体材料を今後の成長を担うコア成長事業に位置付けている。同社はこれまで、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを五井事業所で製造していたが、2021年からは中国のグループ会社SD Materialsでも生産を開始し、2拠点の供給体制を構築している。