帝人は4月12日、同社の炭素繊維「テナックス」を使用した織布状ならびに積層板状の炭素繊維強化熱可塑性複合材料(CFRTP)が、米国のNCAMPに認証されたと発表した。織布状ならびに積層板状のCFRTPがNCAMPの認証を受けるのは世界で初となる。
NCAMPは、ウィチタ州立大学(米国)が運営する民間認証機関で、NCAMPによって認証されたプロセスによって開発された複合材料の仕様や設計値は、米国連邦航空局(FAA)、欧州航空安全局(EASA)ならびにブラジルの国家民間航空機局(ANAC)に認められている。
今回認証を取得したCFRTPは、熱可塑性複合材料織布「テナックスTPWF」ならびに熱可塑性樹脂積層板「テナックスTPCL」で、「テナックスTPWF」は、炭素繊維織物に熱可塑性樹脂を付着もしくは含侵させたシート状の材料、「テナックスTPCL」は「テナックスTPWF」を積層させたものに熱と圧力をかけて成形した板状の部品となっている。
これらのCFRTPは、いずれも母材としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を使用しており、耐熱性、耐衝撃性、および耐疲労性に優れているのが特長となる。また、「テナックスTPWF」および「テナックスTPCL」の機械特性や成形性に関する情報は、高機能材料の製造・加工プロセスを分析するシステムとして航空宇宙業界から高い信頼を得ている「アニフォーム」ソフトウェアに登録されている。
今回、「テナックスTPWF」や「テナックスTPCL」がNCAMPの認証を受けたことにより、航空機メーカー、電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカー、および航空機部品サプライヤーは、自社での個別の材料認定作業を行うことなく、NCAMPが公開しているデータベースを活用することで、政府機関の認定を効率的かつ低コストで取得できるようになることから、今後のCFRTPの使用拡大が期待される。
同社は今後も、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性樹脂を使用した中間材料などのラインアップの拡充ならびに用途開発を強化していくとしている。