住友化学は4月18日、有効成分アブシシン酸(一般名)を含有する天然物由来の植物成長調整剤「アブサップ液剤」の日本販売を開始したと発表した。「アブサップ液剤」は、同社がグローバル展開を進めるバイオラショナルの新製品の1つで、ブドウの着色不良問題に取り組む生産現場への新たな解決策となることが期待されている。
アブシシン酸は、自然界に存在する植物ホルモンの一種で、ブドウにおいては色素成分であるアントシアニンの生成を促進し、果皮の着色を向上させる効果がある。同社グループでは、アブシシン酸を含有する製剤について、2009年にチリで農薬登録を取得して以降、米国、南アフリカなど、10カ国以上においても同様の登録を取得しており、米国子会社であるベーラント・バイオサイエンス社(米国イリノイ州)を中核拠点としてグローバルに開発・販売を進めている。
近年、地球温暖化などの影響でブドウの着色不良が問題になっており、生産現場では、果実の品質を確保し、等級を上げるため、着色の向上が求められている。従来、日本では、主に環状剥皮により養分を枝葉に集中させる方法で果実の着色向上が行われてきたが、樹体を衰弱させるなどの問題があった。「アブサップ液剤」は、巨峰・ピオーネという日本を代表する黒系ブドウ品種について農薬登録されており、果房へ直接散布するだけで、植物体にストレスを与えることなく効率的に果皮の着色を促進できる特長がある。
同社は、引き続き、バイオラショナル製品のラインアップ拡充に取り組み、農業分野における革新的なソリューションの開発を進め、持続可能な農業に貢献していくとしている。