三洋化成が開発 ABS樹脂用抗ウイルス剤

2023年04月19日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は4月18日、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂に、高い抗ウイルス性を付与する抗ウイルス剤「BARRIATEC(開発品)」を開発したと発表した。「BARRIATEC」をABS樹脂に練りこむと、新型コロナウイルスを99・75%以上、インフルエンザウイルスを99・99%以上不活性化することが確認できた。

 「BARRIATEC」は高分子タイプの抗ウイルス剤で、樹脂に練りこむことができ、それ自身のブリードアウトがないため、原理的に抗ウイルス効果が持続することが期待できる。さらに、帯電防止性も付与することができるため、ホコリの付着を抑制し、プラスチックを清潔に保つことが可能となる。ハンドリング性がよく、練りこんでも樹脂物性や外観にほとんど影響を与えないため、透明ABSを含む幅広い用途に使用することができる。

 「BARRIATEC」を練りこんだABS樹脂においては、①高い抗ウイルス効果を示す、②原理的に抗ウイルス効果の持続が期待できる、③ホコリの付着を抑制できる、④加工が容易、⑤外観・機械的性質を損なわない、といった特長を発現する。

 昨今、新型コロナウイルス感染症対策など、衛生面への関心が高まっている。ABS樹脂は「耐衝撃性」と「剛性」のバランスに優れ、IT・家電製品の部品・筐体や自動車部品、建材や日用品など、幅広い用途で使用されている汎用性の高い樹脂であるが、耐薬品性が低く、薬品で素材表面を拭いた場合、素材表面が劣化してしまうため、一般的によく使われるアルコールによる消毒ができないという課題があった。

 同社はこれまで培ってきた界面制御技術および高分子設計・合成技術と、樹脂改質剤の知見を活かして、持続的な効果が期待できるABS樹脂用抗ウイルス剤「BARRIATEC」を開発した。

 同社は、人々の健康で安心、安全な暮らしの実現に貢献できるよう、今後もさまざまな機能化学品の研究開発を進めていくとしている。

 

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス

インフルエンザウイルス

インフルエンザウイルス

右が練り込んだ樹脂①

右が練り込んだ樹脂①

右が練り込んだ樹脂②

右が練り込んだ樹脂②

 

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