マクロゴールの生産能力増強 三洋化成が名古屋工場で

2023年04月21日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は4月19日、医薬品用ポリエチレングリコール「マクロゴール」について、今後の需要拡大に対応するため、生産能力を増強することを決定したと発表した。
 同社名古屋工場における設備の更新および改造等により、生産能力を現在の約2割増強する。投資金額は約1億円で、2024年5月の稼働を予定している。同社は、「マクロゴール」の能力を今後さらに引き上げる計画を進めており、今回の増強はその計画の一環となる。
 「マクロゴール」は、日本薬局方(局方)または医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たす、医薬品・医薬品添加剤用のポリエチレングリコール(PEG)の総称。PEGは酸化エチレンと水との付加重合体で、同社は1960年に日本で初めてPEGを製品化し、1971年に「マクロゴール」を販売開始した。
 「マクロゴール」は、その分子量により、液状、ペースト状、固状などの性状があり、いずれも水溶性で生理学的に不活性であることが特長となる。
 医薬品添加物としては、その特長に応じて、液状のものは保湿剤や外用液剤の安定化剤、注射剤など脂溶性薬物の可溶化剤(溶解補助剤)、ペースト状のものは軟膏基剤、固状のものは、坐薬基剤、錠剤のコーティング剤や錠剤用バインダーとして使用している。
 「マクロゴール」単独では、製剤(腸管洗浄剤や便秘薬)、医薬品製造用薬剤(血漿分画用沈殿剤など)に用いられるほか、組織再生、細胞培養、ドラッグデリバリーシステムなどにおける修飾剤など、さまざまな用途展開も進んでいる。今後、ジェネリック医薬品の発展による医薬品全体の販売量増加や新規用途拡大に伴い、「マクロゴール」はさらなる需要拡大が予想される。
 同社の「マクロゴール」は、製造設備や品質管理における厳しい基準(GMP)に準拠した管理体制の下、製造している。今回の生産能力の増強により、「マクロゴール」の今後の需要増に対応した安定供給を確保し、旺盛な需要拡大に対応する。
 同社は、今後も高品質な「マクロゴール」を提供することで、世界中の医療の発展と人々の健やかな暮らしの実現に貢献していく。

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー