出光興産が投資決定 油化ケミカルリサイクル商業生産設備へ

2023年04月24日

ゴムタイムス社

 出光興産は4月20日、千葉県市原市の同社千葉事業所隣接エリアにおける使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル商業生産設備への投資を決定したと発表した。2025年度の商業運転開始を目指す。
 併せて、共同で油化装置の技術確立に取り組んできた環境エネルギーと、使用済みプラスチックを原料とした生成油の生産を行う合弁会社「ケミカルリサイクル・ジャパン」を2023年4月に設立する。
 新会社名は、ケミカルリサイクル・ジャパン、代表者は、岡村仁彦氏(同社から出向)、本社は、東京都中央区新富一丁目18番8号 RBM 築地スクエア6階、工場は同社千葉事業所隣接エリア、使用済みプラスチック処理能力は1年当たり2万t、生産開始時期は、2025年度となる。
 各社の役割として、ケミカルリサイクル・ジャパンは、油化装置の建設、生成油の製造販売、同社は、生成油の引取、リニューアブル化学品・燃料油の製造販売、テラレムグループは、前田産業株式会社は用済みプラスチックの調達となる。
 当事業を通じて、2050年カーボンニュートラルおよび循環型社会の実現に向けて取り組んでいく。
 近年、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などへの対応が推進されていることに加え、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されるなど、プラスチックの資源循環を一層促進する重要性や社会的ニーズが高まっている。
 国内では、1年当たり、約820万トンの使用済みプラスチックのうち、再生品への利用は約2割に留まっている。5割以上の使用済みプラスチックは再生利用が困難であることから、サーマルリサイクルとして焼却され、大量のCO2が排出されているのが実情となる。
 この課題へのソリューションの一つとして、従来にない革新的なケミカルリサイクル技術が求められている。
 同事業では、回収した使用済みプラスチックから、新たに設立するケミカルリサイクル・ジャパンが独自技術を用いて生成油を生産し、原油に替わる原料として、同社の既存設備である石油精製装置および石油化学装置にて精製・分解・重合して「リニューアブル化学品」を生産する。
 最終的にはこのリニューアブル化学品を原料として、新たなプラスチック製品をプラスチック製品製造会社などで生産する。
 従来はゴミとして焼却されていたプラスチックを再び貴重な資源として再利用することで、循環型社会の実現とCO2削減に貢献することが当事業の目的となる。
 当事業は、長年化石燃料を取り扱い、化石資源由来のプラスチック製造に深く関わってきた同社が責任をもって取り組むべき事業であるとともに、石油精製と石油化学の両事業を展開してきた同社ならではの強みを活かせる事業だと考えている。
 千葉事業所エリアにおける当事業モデルの確立後は、国内各地の同社グループ製油所・事業所へ油化装置の設置を行い、全国の使用済みプラスチックを対象としたより大規模な事業展開を進めていく。
 同社は 2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030年ビジョン「責任ある変革者」、2050年ビジョン「変革をカタチに」を掲げている。昨年11月に発表した中期経営計画(対象年度、2023~2025年度)では、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域の社会実装を通して「人々の暮らしを支える責任」と 「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを表明した。
 当事業は3つの事業領域のうち「多様な省資源・資源循環ソリューション」の社会実装に向けた重要な取り組みと位置付けている。

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー