旭化成は4月20日、同社とTISが、共同で構築した偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」を、食品偽装問題へのソリューションとして活用開始すると発表した。今年4月より、高級ウニの水産加工業者である羽立水産の「はだての生うに」で取り組みを開始する。
食品の偽装問題は長年後を絶たず、偽装食品を全体の一部に混ぜる、一時的に産地を経由するなど、手口が巧妙化している。偽造品の流通は、食品のブランド価値を毀損させ、真正な生産者に大きな打撃を与えかねない。また、消費者も産地偽装に気づかずに購入してしまう恐れがあり、食の信頼性が脅かされる状況となっている。
豊洲市場でも日々高額で取引される「はだての生うに」を提供している羽立水産では、過去5年ほど、羽立水産製と偽装されたウニの流通が増加していることに懸念を抱いていた。
一方、同社では、昨年よりアパレル業界向けに偽造防止ソリューションの提供を開始し、新たな用途として食品偽装対策への展開を模索していた。
そこで同社は、「はだての生うに」の偽造防止対策にAkliteiaを活用し、真贋判定ができる手段の提供に向けて取り組みを開始することとした。
同取り組みでは、同社の独自技術によって作られた偽造困難なラベルを商品のパッケージに貼付する。また、ラベル上には、消費者への情報提供のため、真正品であるという表示とQRコードを付記する。これにより、消費者も本物であることが一目でわかり、より安心して商品を購入できるようになる。
同社は今後、羽立水産との取り組みを皮切りとして、食品業界のニーズや課題を収集し、サプライチェーン全体での偽造品排除に向けて、流通拠点で真贋判定ができるシステムの構築に向けて取り組んでいく。また、将来的には、消費者自身が購入した商品を食す前に、本物かどうか確認できるソリューションの提供も検討している。
同社とTISは、偽造品の排除によりサプライチェーン全体で商品のブランド価値を高め、生産者から流通・小売企業に適正に利益が還元され、食品の信頼性を守ることを目指していくとしている。