ミシュランは4月24日、4月13目に、イタリアのクネオ工場で「インターナショナル・メディア・デー」を開催したと発表した。
2つの戦略的変革として、消費者の新たなニーズと気候変動に対応するためのタイヤ市場の進化と、人間、技術、環境の新たな課題に対応するための生産拠点の変革タイヤ市場の進化を発表した。
また、かねてより掲げている「2050年までに100%サステナブル素材を使用してタイヤを生産の実現」という目標を改めて強調した。
自動車市場はこの数年で大きな変化を遂げた。過去30年、世界中で消費者のニーズと車両の使用方法は大きく変化した。重量化、力スタマイズ、快適性と安全性の向上、力一シェアリング、リースの発展は顕著な兆候となる。さらに気候変動と環境規制の厳格化も大きな影響を与えている。
同社は変化を遂げたタイヤ市場で主要トレンドを支える大きな役割を果たしている。
車両の重量化で、タイヤは大口径化している。気候変動と資源不足において、この傾向は消費量とCO2排出量に直接影響を及ぼす。
同社はこのパラドックスに技術で対応する。転がり抵抗の低減により、タイヤのライフサイクル全体で2021年には34億リットルの燃料を節約し、2010年比で870万tのCO2排出を抑制した。
同社は2030年までに、エネルギー効率をさらに10%改善するための取り組みを継続する。
ヨーロッパで長い間消費者に敬遠されていたオールシーズンタイヤが、ここ数年で3倍もの販売数を記録し目覚ましい成功を収めている。
このタイヤは特に同社が開発した技術的革新により、その使いやすさと卓越した性能が評価されている。この市場では、気候変動と予測不可能な雪天、ヨーロッパにおける規制の変更、タイヤ交換が不要という消費者メリッ卜、車両フリートとリースの発展などが要因になり今後5年間11%以上の成長を見込んでいる。
電気自動車がタイヤに求める4つの性能は、「加速・減速時のトルク増に対応する長寿命」、「自律性のための低転がり抵抗」、「大容量バッテリー搭載による高荷重指数」、「騒音低減、電気自動車のノイズの70%は、エンジンではなく走行から発生」となり、内燃機関車よりはるかに厳しくなることが予想される。
生産拠点の変革として、人・利益・地球の「三方よし」を目指す同社は、生産拠点である工場においても徹底的な改革に取り組んでいる。
人の改革としては、リーダーシップモデルに基づき権限を委譲することで、大きな成果を上げている。画期的な経営革新による15年間の大きな変化は財務体質を強固にした。専門職を魅力ある職種とし、組合組織や従業員と連携することで、質の高い社会的対話を継続している。今後10年間でさらなる強化を目指す。
技術の革新として、デジタル化と人工知能の活用で業界を変革している。コラボレーション環境で再利用するために過去5年間のデータを保存している。ロボットと人工知能を組み合わせたインダストリー4・0は、変革の規模を10倍に拡大し生産の品質と柔軟性を引き上げ、従業員の労働条件とスキル向上に繋がっている。
これらのイノベーションにより約6000万ユーロの年間利益を達成した。
環境への配慮として、生産拠点の環境への影響を2005年から2019年で半減させた。
グリーンエネルギーへの移行など取り組みをさらに加速し、2010年から2030年でC02排出量を50%削減する中間目標とともに、2050年までにC02排出量正味ゼロを目指す。C02のみならず水の消費量を2030年までに30%以上削減するコミットメントもしている。
同社は、サステナブル素材を45%含有した乗用車用タイヤと58%含有したパス用タイヤを発表した。
これらのタイヤは公道走行承認済みで、現行タイヤと同等の性能を保持している。
世界初のこれら2つのタイヤは、「2050年には100%持続可能なタイヤを生産する」という意欲的なゴールに向け、同社が現実的かつ具体的な取り組みを積極的に進めている証であり、2025年までに開発する量産モデルの未来像を示すものとなる。
材料分野で過去培った専門知識と研究開発部門の専門家、革新的な新興企業とのパートナーシップにより達成したこの進歩は、同社のすべての製品に利益をもたらす。タイヤの性能に妥協することなく、タイヤ全てのライフサイクル(設計・製造・輸送・使用・リサイクル)において環境負荷低減に取り組んでいる。
同社のCEOフロラン・メネゴ氏は「ミシュランは絶えず変化している。これまで以上に革新的に環境に配慮し、進化するタイヤ市場の課題に立ち向かう。革新的な企業文化で顧客と社会の期待に応え、ソリユーションを予見し考案する。「タイヤと共に」、「タイヤ関連で」、「タイヤを超越して」戦略的目標を達成出来ると確信している」と述べている。
同社は「すべてを持続可能に」という企業ビジョンのもと、人(People)、地球(Planetl)、利益(Profitl)三方良しの理想を叶え、2050年までに100%持続可能なタイヤを製造することを約束している。
大西洋で帆船による海上輸送の推進、東南アジアの天然ゴム栽培および森林保全の最適化、自動車産業の電動化への貢献など、グローバルに脱炭素への取り組みを進めている。
2023年04月29日