中期経営計画を策定 ハイケムが長期ビジョン達成に向けて

2023年05月15日

ゴムタイムス社

 ハイケムは5月12日、2034年度までの長期ビジョン達成に向けた中期経営計画(第6回4ヵ年計画、2023年度~2026年度)を策定したと発表した。
 同社は本年度で会社設立 25周年を迎えた。25年の歴史を振り返ってみると、設立から12年で売上高100億円を突破し、更に12年後となる昨年度の連結売上高は、1015 億 97百万円(前年比29・9%増)となり、初の1000億円突破を果たした。
 そして、次の12年後の2034年度において、更に一桁上となる「売上高、1兆円達成」という大きな夢を目指すべく「All for 1 for All」という標語を掲げた。
これは多様なバックグラウンドや専門性を背景にもつ社員が多様な事業を行っているハイケムという会社が、その多様性を細かに広げていくだけではなく、こころを「1」つにし、一丸となること。そして化学や規模だけにとどまらず、社会にとって真に価値ある事業を持つ 1 兆円企業を目指すという意味を込めている。
 同社では、2034年度に向けた長期目標を達成するにあたり、12年を4ヵ年ずつに分け、中期経営計画の策定を行った。12年の最初の4ヵ年の最終年度となる2026年度において、売上高1668億円を目指す。
 これは、売上高が2022年度比64%増となり、2034年までに1兆円を達成するための最初のマイルストーンとなる。
 1兆円という大きな目標に向かいにあたる基本姿勢として「深化」と「探索」を組み合わせた事業戦略を推進していく。
 「深化」とは今あるコア事業を深堀して、より収益構造を強めていく。また、こうした基礎基盤をしっかりと固めたうえで、「探索」分野に投資し、事業の周辺をしっかりとリサーチして、チャンスを広げ、新商品、新サービスを展開していく。
 事業領域においては、「化学品」「エレクトロニクス」「ライフサイエンス」「エネルギー」「ライフスタイル」の5領域において事業を推進している。
 「化学品」では、日本と中国の貿易において、化学品のマーケットは約8000億円となり、この分野において、同社は既にリーディングカンパニーといえる。
 この立ち位置を更に確かなものにしていきながら、同時に一つ川下の数兆円規模の化学製品・素材産業への探索を行っていく。
 更に、確かな技術や顧客ネットワークを有しているものの、リソースの問題によってそれを拡販できていない企業へのM&Aも視野にいれ、すでに進出している北米市場の強化や、欧州やインド、東南アジアに向けたグローバル展開を本格的に加速していく。
 「エレクトロニクス」では、更なる貿易事業の拡大を企図し、化学品の貿易を基盤として高度化した半導体材料や電子材料の日中間の輸出入に注力しており、高度人材を採用し新規製品の開拓などに取り組んでいる。更に研究機構やベンチャー企業との連携などにより、同社で特徴的な技術開発やサプライチェーンの構築を行い、同社製品の開発並びにブランド化を推進していく。
 「ライフサイエンス」では、ライフサイエンス事業として、農業化学品、医薬品・ヘルスケア、食品・健康素材などの取り扱いを強化している。
 今後、高齢化により世界的な拡大が予測される医薬市場、少子化によって国・地域別の需要変動が予測される農薬市場に対し、的確かつ粘り強いリサーチを実施しながら、医農薬中間体市場から製品・製剤市場への展開も模索していく。
 また、食品・健康素材については、日本が得意とする、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を志向する商品やサービスについて、個々人のQOLよりも急速な経済発展を優先してきた中国やインド・東南アジア市場への展開もおこなっていく。
 「エネルギー」では、EV(電気自動車)向けの電池材料事業の幅を更に広げていくほか、同社がこれまで培ってきた、C1ケミカルや触媒の技術をベースに、各種バッテリーや水素エネルギー、SAF(持続可能な航空燃料)などに注力していく。
 「ライフスタイル」では、PLA(ポリ乳酸)を原料とした、次世代のサステナ素材「ハイラクト」を発表し、新素材として国内外のマーケットに展開している。
 同社では、石油由来のポリエステルを代替えしていけるコスト構造と生産能力を有している素材として PLA に注目し、開発を進めてきた。
 一方で、PLAは強度や耐熱といった課題を有しており、PLAに関する独自の技術を有する、日本企業とのアライアンスや同社の研究施設において、これらの課題解決に向けた取り組みを行っている。また、CO2を資源とした繊維の開発にも着手するなど、未来のファッション産業に向けたサステナブルな提案を行っていく。

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