樹脂事業は減収減益 帝人の23年3月期

2023年05月23日

ゴムタイムス社

 帝人の23年3月期連結決算は、売上高が1兆187億5100万円で前期比10・0%増、営業利益は128億6300万円で同70・9%減、経常利益は91億円で同81・7%減、当期純損失は176億9500万円(前年同期は231億5800万円の利益)となった。
 セグメントのうち、マテリアル領域は、売上高が4560億円で同18・4%増、営業損失は204億円(前年同期は57億円の損失)となった。
 アラミド事業分野では増収減益となった。主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、旺盛な需要が継続したが、第3四半期に発生した原料工場の火災による生産ラインの休止及び労働力不足に伴う生産性悪化等により販売量が減少した。また、欧州の天然ガス価格高騰を背景とした燃料コストの上昇を受けて、販売価格の改定を進めたが、採算性は悪化した。なお為替影響による収益押し上げ効果は一定程度あった。
 樹脂事業分野は減収減益だった。主力のポリカーボネート樹脂で、中国におけるコロナの影響による顧客での稼働減少及び中国を含む世界経済減速の影響を受けて、販売量が減少した。
 炭素繊維事業分野は増収増益となった。炭素繊維「テナックス」の需要が堅調に推移する中、航空機向けの販売量が増加したことにより、販売構成が改善した。また、主原料の価格高騰を受けて、販売価格の改定を進めた。
 複合成形材料事業分野は増収減益となった。米国Teijin Automotive Technologiesにおいて、主要顧客であるOEMで半導体などの部品不足が改善したことに加え、新大型プログラムの販売が本格化したことで、販売量が増加した。
 また、原材料価格の高騰に対応し、販売価格改定交渉を進め、複数のOEMとの価格改定を実現した。一方で、米国の一部工場で発生した成形工程の設備故障により、一時的な生産性悪化や追加費用が発生したほか、米国の労働市場参加率は徐々に改善傾向にあるものの、正常化には至らず労働需給逼迫による労働力不足が継続した。
 24年3月期通期業績見通しは、売上高が1兆500億円で前期比3・1%増、営業利益が350億円で同172・1%増、経常利益は310億円で同240・7%増、当期純利益は130億円(前期は177億円の純損失)と予想している。

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