ダイセルは5月15日、同社が開発した、エッチング液からシリコン窒化膜を保護する保護材料「ナノひっつき虫 TM」に関する研究成果が、科学雑誌「Microelectronic Engineering」に2023 年5月1日付で掲載されたと発表した。
天然由来のセルロースを原料にした同社オリジナルの水溶性樹脂「ナノひっつき虫 TM」は、半導体の製造工程で使用するシリコン窒化膜に特異的に「ひっつき」、エッチング液と呼ばれる強酸の水溶液からシリコン窒化膜を保護する。
エッチング工程の直前にノズル吐出やディッピングで「ナノひっつき虫 TM」を塗布するだけで保護膜が形成でき、半導体製造工場で現在使われているエッチング液もそのまま使えることを特徴としている。
本論文では、半導体製造で使われる様々なエッチング液で処理した際の保護性能を明らかにするとともに、他の水溶性樹脂との性能比較も行っている。
また、シリコン窒化膜上に形成したナノメートルオーダーの保護膜の存在を、X線光電子分光法(XPS)と呼ばれる分析手法により確認した。
X線光電子分光法(XPS)とは、表面分析手法のひとつで、X線照射により放出する光電子の運動エネルギー分布を測定し、表面(数nm 程度)に存在する元素 (Li~U)に対し、元素の種類や定性・定量分析だけでなく、材料の特性を決める化学結合の状態まで分析ができる手法となる。
2023年05月16日