カネカの2023年3月期連結決算は、売上高が7558億2100万円で前年同期比9・3%増、営業利益が350億8700万円で同19・5%減、経常利益が324億1100万円で同20・6%減、当期純利益は230億800万円で同13・1%減となった。
セグメント別に見ると、マテリアル・ソリューションズ・ユニットの売上高は3338億5400万円で同11・3%増、営業利益は274億4900万円で同24・6%減となった。
Vinylsは、苛性ソーダは堅調に推移したが、塩ビのアジア市況は第三四半期以降低迷した。
MODは、第二四半期以降欧米住宅向け硬質塩ビ用途の需要が低迷し、業績は低調となった。非塩ビ用途の市場拡大に注力し、業績は第四四半期から回復している。
MSは、一時的な欧米の建築市場の需要低迷はあったものの需要基盤は底堅く、今後の成長に向けてベルギーでの能力増強を決定した。米州の次期能力増強は最終検討段階に入っている。
Green Planetは、日米欧の大手ブランドホルダーとの共同開発が順調に進み、アプリケーションの拡大とともに販売が伸びている。「バイオものづくり」の社会実装に向けたCO2と水素からGreen Planetを生産する革新技術の研究開発に関し、3月にNEDOの「グリーンイノベーション基金事業」に採択さた。
Vinylsは、アジア市場の旺盛な需要拡大が継続、海外市況上昇が収益増に貢献した。
クオリティ・オブ・ライフ・ソリューションズ・ユニットの売上高は1727億6600万円で同2・2%増、営業利益は161億3100万円で同4・8%減。
Foamは、国内販売の回復と価格改定によるスプレッド確保が寄与して業績が大きく改善した。海外自動車分野の販売も回復基調となっている。
PVは、住宅向け高効率太陽電池の販売が伸びた。また、東京都はじめ新築住宅へのPV設置義務化等の動きが拡大し、各自治体からの問い合わせも活発化している。
車載用PVは、当社ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池がトヨタ自動車株式会社の「新型プリウスPHEV」のルーフガラス部分に採用され、3月に販売開始された。 E&Iは、第二四半期以降スマートフォン、大型TV向け液晶パネルの大幅な生産調整が継続し、業績は低調となった。5Gやフレキシブルディスプレイ、画像センサー用途など当社ならではの差別化新製品のラインアップに注力している。
Fiberは、アフリカ・米国のインフレ高進による頭髪製品の需要減の影響を受けたが、高機能新製品も投入し、第四四半期より需要が回復しつつある
2024年3月期の連結業績予想は、売上高が8000億円で前年同期比5・8%増、営業利益が420億円で同19・7%増、経常利益が385億円で同18・8%増、当期純利益は270億円で同17・3%増を見込んでいる。
2023年05月18日