住友ベークライトの23年３月期連結決算は、売上収益が２８４９億３９００万円で前期比８・３％増、事業利益は２５４億４８００万円で同３・９％減、営業利益は２４８億２３００万円で同０・３％減、当期利益は２０２億８９００万円で同10・９％増となった。
セグメント別では、半導体関連材料は、売上収益は７９５億４０００万円で同５・０％増、事業利益は１５３億２３００万円で同７・２％減。半導体関連材料は主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料が、前年度好調だったパソコンやスマートフォンなど民生向けの需要が、巣ごもり需要終了の影響等により冷え込み、在庫調整局面が長期化していることから販売数量が減少した。売上収益については原料価格上昇に伴う価格改定と円安影響により増加したが、事業利益はコスト削減の取り組みにもかかわらず販売数量減少の影響が大きく前期比減益となった。感光性ウェハーコート用液状樹脂は、主要用途であるメモリー需要が堅調に推移しており、販売数量、売上収益ともに前期並みで推移した。半導体用ダイボンディングペーストは、民生用途の需要減少、顧客での在庫調整が長期化し、販売数量、売上収益は前期を下回った。半導体パッケージ基板材料「ＬαＺ」シリーズは、中国市場のスマートフォン需要低迷が長期化しており売上収益が減少した。
高機能プラスチックは、売上収益が１０２３億５１００万円で同11・０％増、事業利益は46億３７００万円で同21・９％減。主力の工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料が、中国での新型コロナウイルス感染者数増加による生産・消費活動の停滞影響で国内・アジア地域の販売数量が大幅に減少した。製品価格の改定、北米の経済環境改善等による売上収益の押上げ要因はありましたが、主力のアジア地域での販売数量減少分をカバーできず事業利益は前期を大きく下回った。銅張積層板は、エアコン用、ＬＥＤ照明用基板の販売が好調に推移してきましたが、年明け以降、顧客での在庫調整局面に入ったことにより売上収益は前期比で横ばいだった。航空機内装部品は、航空産業の事業環境改善を背景に売上収益が大幅に増加し、収益力も生産合理化や製品価格改定で改善した。
クオリティオブライフ関連製品は、売上収益は１０２２億７３００万円で同８・３％増、事業利益は92億１０００万円で同24・０％増。医療機器製品、ビニル樹脂シートおよび複合シートの販売が好調に推移しており、過去最高の売上収益、事業利益となった。医療機器製品は、北米向けの採血キット、アジア向けの血液バッグなど輸出販売が好調なことに加え、北米の医療機器製造子会社の業績も好調なことから、売上収益は大幅に増加した。バイオ関連製品は、高付加価値品の販売に注力したが、国内向け一般品の販売が減少したこともあり売上収益は前期並みだった。ビニル樹脂シートおよび複合シートは、産業用途が半導体市況の悪化、スマートフォンの販売減などの影響をうけて販売数量が減少したが、医薬品包装用途はジェネリック医薬品向けを中心に好調を持続し、食品包装用途も堅調に推移したことから売上収益は前期比で大幅に増加した。ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、原料価格上昇等に対応して製品価格改定を進めて収益力改善に努めてきたが、サングラス用の偏光板用途で需要回復が遅れており、売上収益は前期比で横ばいだった防水関連製品は、新築住宅向け屋根防水工事を中心に需要が回復基調で売上収益は増加した。
24年３月期の連結業績予想は、売上収益が２９５０億円で前期比３・５％増、事業利益は２８５億円で12・０％増、当期利益は２１５億円で同６・０％増を見込んでいる。
