ADEKAの2023年3月期の連結決算は、売上高が4033億4300万円で前年同期比11・7%増、営業利益は323億6900万円で同4・9%減、経常利益は325億7900万円で同8・6%減、親会社株主に帰属する当期純利益は167億7800万円で同29・2%減となった。
化学品事業の売上高は2117億2000万円で同5・8%増、営業利益は262億6000万円で同10・5%減となった。
樹脂添加剤は、自動車向けでは、半導体不足等による減産の影響を受け、国内で核剤等が、また中国を含むアジア圏においてはゴム用可塑剤等の販売数量が減少した。
建材向けでは、北米で住宅内装材の需要が減少し、塩ビ用安定剤の販売が低調だった。
食品包装向けでは、テイクアウトやデリバリーといった中食需要の拡大を捉え、北米を中心に透明化剤の販売が好調に推移した。
ポリオレフィン樹脂に使用されるワンパック顆粒添加剤や酸化防止剤は、欧州等での需要低迷により販売数量が減少した。
難燃剤は、家電やパソコン等の需要の落ち込みにより、筐体等に使用されるエンジニアリングプラスチック向けの販売が低調だった。一方、ポリオレフィン樹脂向けは大型家電向けを中心に販売が堅調に推移した。
樹脂添加剤全体では、原料価格高騰に対する販売価格の改定や為替の影響により、前期に比べ増収となった。一方、利益面は、販売数量の減少により減益となった。
情報・電子化学品は、半導体向けでは、第3四半期後半より足元にかけて、需要の落ち込みやメモリ価格の下落を背景とした半導体メーカーの減産の影響を受け、一部製品群で販売が減少した。一方、最先端のDRAMに使用される高誘電材料及びEUVやArF等の最先端のフォトレジストに使用される光酸発生剤の販売が好調に推移した。また、NAND向け製品の販売も堅調だった。
ディスプレイ向けでは、パネルメーカーの大幅な在庫調整の影響を受け、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤、ブラックマトリクスレジスト及びエッチング薬液の販売が低調に推移した。
情報・電子化学品全体では、半導体材料は先端世代向け製品を中心に好調に推移したが、ディスプレイ関連材料の落ち込みをカバーするには至らず、前期に比べ減収減益となった。
機能化学品では、自動車向けでは、国内中心に半導体不足等による減産の影響を受けたが、エンジンオイル用潤滑油添加剤の販売が、海外での新規採用や新エンジンオイル規格の市場浸透により好調に推移した。また、海外を中心に構造接着用特殊エポキシ樹脂の販売も好調だった。
建築塗料向けでは、反応性乳化剤の販売がアジア地域を中心に堅調に推移しました。また、化粧品向け特殊界面活性剤は、国内外で市況が緩やかに持ち直し、販売が堅調だった。
一方、工業用途で使用されるプロピレングリコール類は市況悪化の影響を受け低調に推移した。また、過酸化製品はディスプレイ向けを中心に需要落ち込みの影響を受け低調だった。
機能化学品全体では、海外での潤滑油添加剤等の販売拡大や販売価格の改定により、前期に比べ増収となった。一方、利益面は、原燃料価格の高騰に対し、販売価格の改定を推し進めたが、一部製品での販売数量の減少や価格改定のタイムラグがあり、減益となった。
24年3月期通期の連結業績予想は、売上高が4260億円で前期比5・6%増、営業利益が360億円で同11・2%増、経常利益が355億円で同9・0%増、純利益が210億円で同25・2%増を見込んでいる。
2023年05月18日