三井化学は5月17日、将来有用となる技術情報の抽出から新規材料探索までを、AI技術を活用して一貫して行うことができる技術を株式会社CrowdChemと共同で開発したことを発表した。これにより、自然言語処理を活用した新規材料探索の効率化を図ることが可能。さらにGPT(Generative Pre-trained Transformer)などの生成AI技術と過去の成果を組み合わせることで、事業への幅広い活用が期待できることとなる。
従来は新規分野での開発には多大な調査時間と費用が必要だった。さらに、予期せぬ技術課題によって開発が中断されることも少なくなかった。
この問題を解決するため、同社とCrowdChemは、着目する分野の将来動向に関するニュースや特許・文献等に記載されている技術キーワードの中から、関連の強いデータを抽出する技術と、記載されている文章から必要な情報を抽出・実行する技術を統合する一方で、市場面からの期待度、並びに開発面の難易度を同時に評価し、有望な新規材料探索を効率的に行う技術を開発した。CrowdChemが有する化学関連の情報を含むデータベースを基に、AIを活用して有用情報の抽出システムをカスタマイズし、新規材料探索を行うというもので、一連の流れを確立することで、開発の効率化が可能となる。
また、生成AIとこれまでの成果を組み合わせることで、結果の解釈、抽象的なアウトプットに対する具体例の提示、関連情報の収集、アクションプランの提示などが可能となるため、事業への幅広い活用が期待される。次のステップとして、実際の事業課題に対する概念検証を進め、複数の事業部門への展開を計画している。
今後も、DXを活用した技術関連データや営業データの統合、その他の先端デジタル技術との組み合わせにより、高度な技術活用にチャレンジしていくとしている。
2023年05月19日