レゾナックは5月18日、同社において持続可能な製品の国際的な認証制度の一つである ISCC PLUS認証を、3製品(水素・アンモニア・アクリロニトリル)で取得したと発表した。
いずれも、使用済みプラスチックを化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」により製造した製品で、使用済みプラスチック原料での認証の取得は、国内初となる。
同社川崎事業所では、2003年から使用済みプラスチックを化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」(川崎プラスチックリサイクル(KPR))に取り組んできた。
今回の ISCC PLUS認証取得により、KPRプラントでケミカルリサイクルした使用済みプラスチックを原料の一部とする誘導品・製品群に対して、認証制度に基づくマスバランス(物質収支)方式によって使用済みプラスチック由来特性を割り当て、販売を検討していく。
今後の運用開始時期については、各取引先と調整の上、決定する。
ISCC PLUS 認証とは、第三者機関である ISCC(International Sustainability and Carbon Certification 国際持続可能性カーボン認証)が展開し、バイオマスや再生由来原料や製品などについて持続可能性が保たれ、サプライチェーン全体で適切に管理しているかを担保する国際的な認証制度。特に複雑な生産工程を持つサプライチェーンの、バイオマス化や再生由来原料使用を推進させるマスバランス方式の有効な認証制度として活用されている。
マスバランス方式とは、バイオマスや再生由来原料といった持続可能原料と非持続可能な原料を混合して製品を製造した際に、投入した持続可能原料の割合に応じて、一つまたは複数の特定製品に対して持続可能特性を自由に割り当てるもの。
同社は既存の製造プロセスを活用し、現在の品質や性能を維持しつつ持続可能原料の使用の促進に貢献できる。また、消費者にとっても環境に配慮した製品を購入することにより、持続可能な社会へ寄与できる。本方式は、化学業界で今後さらに普及する見通しとなる。
KPRでは回収した使用済プラスチックを熱分解によりガス化し、水素や一酸化炭素を取り出し、一酸化炭素は炭酸やドライアイス製品に、水素はアンモニアの原料として利用している。そのほか燃料電池車やホテルに設置した燃料電池の発電用として供給するなど、脱炭素社会実現に向けた取り組みにも貢献している。
同社は、今後も環境に配慮した生産設備・技術の導入や積極的な環境対策の推進、高度循環型社会を支える製品の供給等により、社会全体の脱炭素やカーボンニュートラルへの実現を含め、グローバル社会の持続可能な発展に尽力する。
同社グループは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカル等を展開し、川中から川下まで幅広い素材・先端材料テクノロジーを持つ化学会社となる。2023 年1月に昭和電工グループと昭和電工マテリアルズグループ(旧日立化成グループ)が統合し、新たなスタートを切った。新社名の「Resonac」は、英語の「RESONATE、共鳴する・響き渡る」と、Chemistry の「C」を組み合せて生まれた。
同社は「共創型化学会社」として、共創を通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指している。2022年度の売上高は約1兆4千億円、うち海外売上高が56%を占め、世界22の国や地域にある製造・販売拠点でグローバルに事業を展開している。