積水化学が東京都と共同研究 フィルム型ペロブスカイト太陽電池

2023年05月29日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は5月25日、森ヶ崎水再生センターへのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置完了に伴い、同日に小池百合子東京都知事や同社代表取締役社長の加藤敬太氏、執行役員R&Dセンター所長の向井克典が出席し、検証のキックオフが行われたと発表した。
 同社は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を東京都と進めている。
 小池知事は、「エネルギー情勢が厳しく、かつ気候変動によって脱炭素など大きな課題がある中、このようなイノベーションが大きな日本の技術として羽ばたくのを東京都としても支援し、持続可能な成長を遂げる東京そして日本につなげていきたい。」とコメントしている。
 加藤社長は、「ペロブスカイト太陽電池は軽量柔軟なためビルの外壁への適用や、空港や港湾、道路アセットへの適用も可能。2025年度の事業化を目指し、技術開発や様々な要素の検証、社会との連携を強化しながら開発をしていく。」とコメントしている。
 向井R&Dセンター所長は、「今回の共同研究では、発電量や発電効率を継続的に確認していくほか、下水道施設ならではのフィールドを活用し、耐腐食性能や設置方法などを検証し、ペロブスカイト太陽電池の可能性を更に広げていく。」とコメントしている。
 今後、2025年12月までを目途に、検証を通じて、発電量のモニタリングや耐腐食性能の確認などを行っていく。
 共同研究の実施場所は、東京都下水道局、森ヶ崎水再生センター(東施設)、住所は、東京都大田区昭和島2-5-1となる。
 共同研究の目的は、下水道施設をはじめとした、大規模建築物などを有する公共施設は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置場所として、脱炭素社会の実現に貢献する重要な潜在市場の一つであると考え、適用性を検証する。
 役割分担として、東京都は、総合調整および設置場所の提供、技術的助言および技術評価、同社は、研究計画の策定、ペロブスカイト太陽電池の設置、計測および分析、下水道施設への適用に向けた研究開発となる。
 フィルム型ペロブスカイト太陽電池の今後の展開として、同社では、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。さらに、同製造プロセスによる発電効率 15・0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功している。
 2023年度からは、本件をはじめ、各種用途への設置を通して技術実証と設置・施工方法の確立を進めていく。並行して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指す。

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