出光興産が公募開始 Idemitsu Art Award

2023年05月31日

ゴムタイムス社

出光興産は5月29日、次代を担う若手作家の発掘・育成を目的とする「Idemitsu Art Award 2023」の作品募集を開始すると発表した。
 「Idemitsu Art Award」は、40歳までの若手作家を対象とする公募制の美術賞で、2022年に「シェル美術賞」から改称した。昨年に引き続き、グランプリの賞金は300万円、25歳以下の出品を1点まで無料(2点目以降は有料)とし、若手作家の支援を継続する。
 審査は、現代美術の分野で活躍する学芸員や作家など、新任2名を含む計5名の審査員による多彩な視点で行う。
 Idemitsu Art Award 2023の応募資格は、2023年3月31日時点で40歳以下の方、募集作品は、平面作品でワイヤーによる壁面展示が可能なもの、2021年以降に制作された新作で、他の公募展等で入選していない作品、サイズは、7162・0cm×162・0cm(S100号)以内、厚さ、重量は、15cm、30kg以内となる。
 出品料は、1人3点まで、26歳以上1点7000円、2点1万1000円、3点1万4000円、25歳以下1点無料、2点7000円、3点1万1000円となる。エントリー期間は、5月30日~8月25日、出品料支払い期間は、7月8日~9月8日、作品搬入期間は、送付搬入日が9月14日~9月15日、直接搬入日が、9月16日~9月17 日となる。
 展覧会は、「Idemitsu Art Award展 2023」、国立新美術館展示室 1B12月13日~12月25日に行われる。
学生支援企画として、学生特別賞を設定、展覧会入場料無料となる。
 今回の審査員は、江上ゆか氏(兵庫県立美術館学芸員)、正路佐知子氏(国立国際美術館主任研究員)、桝田倫広氏(東京国立近代美術館主任研究員)、鷲田めるろ氏(十和田市現代美術館館長)、竹中美幸氏(画家 シェル美術賞2012年審査員賞受賞)となる。
 江上ゆか氏は、1969年兵庫県生まれ。1992年京都大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。同年より兵庫県立近代美術館(現・兵庫県立美術館)学芸員。近年、担当した展覧会に「関西の80年代」(2022年)、「集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼山村コレクション展」(2019年)、「美術の中のかたち―手で見る造形 触りがいのある犬―中ハシ克シゲ」(2018年)、「注目作家紹介プログラム チャンネル7 髙橋耕平―街の仮縫い、個と歩み」(2016年)、「阪神・淡路大震災から20年」(2014-15年)など(共同企画を含む)。
 「歴史ある賞の審査に、初めて参加させていただく。現代美術は、この賞が始まった頃からすればおそらく想像もつかないほど、メディアの幅を広げ多様さを増す一方。そうした中にあっても、平面、絵画、あるいは絵といったオーソドックスな手法が廃れることはなく、魅力的な表現が生みだされ続けている。むしろ、このやり方でしか表せない、表さずにはいられない必然は、より鮮明になってきたと言えるのかもしれない。それぞれに切実で新鮮な作品と対面できることを、楽しみにしている。」とコメントしている。
 正路佐知子氏は、岡山県生まれ。お茶の水女子大学大学院博士後期課程単位取得退学。福岡市美術館学芸員を経て2023年より国立国際美術館主任研究員。福岡市美術館時代に企画した主な展覧会は、「第9回21世紀の作家―福岡大浦こころ展やわらかな圧力」(2011)、「想像しなおし」(2014)、「歴史する!Doing history!」(2016)、「インカ・ショニバレ CBE:FLOWER POWER」(2019)、「梅田哲也 うたの起源」(2019-20)、「田部光子展『希望を捨てるわけにはいかない』」(2022)、「藤野一友と岡上淑子」(2022-23)。
 「前回より名称は新たになりましたが、「次世代を担う若手作家のための公募展」という役割も、前身のシェル美術賞が築いてきた歴史に連なることも、主な応募条件も変わってはいない。変わったのは賞金と、若い世代の応募のハードルが下がったこと。前回初めて審査に携わり、現状このアワードが新たな展望を示すとすればそれは受賞・入選作によってなのだろうと感じた。それを選ぶのは審査員であるという事実を重く受けとめながら、圧倒的な何かに出会いたいという思いを強くしている。」とコメントしている。
 桝田倫広氏は1982年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科美術史学専攻博士後期課程単位取得退学。主な展覧会に「ゲルハルト・リヒター展」(2022年)、「ピーター・ドイグ展」(2020)、「アジアにめざめたらアートが変わる、世界が変わる1960–1990年代」(共同キュレーション、東京国立近代美術館、韓国国立現代美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポール、2018–2019)、「No Museum, No Life?―これからの美術館事典国立美術館コレクションによる展覧会」(共同キュレーション、2015)など。
 「このアワードの応募年齢は2023年3月31日時点で40歳以下までとのこと。すでにキャリアを築いている方も、これからの方も、描けたと思ったら拝見するので送ってほしい。」とコメントしている。
 鷲田めるろ氏は1973年京都市生まれ、十和田市在住。東京大学大学院修士修了。金沢21世紀美術館キュレーターを経て、2020年より十和田市現代美術館館長。第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館キュレーター(2017年)。あいちトリエンナーレ 2019キュレーター。著書に「キュレーターズノート二〇〇七ー二〇二〇」(美学出版)。東京藝術大学大学院准教授。
 「油彩や日本画、ドローイングといったジャンル毎の慣習や技術の精緻化からは一旦離れ、今という時代に向き合う中で、伝えたいことが明確化されている作品を期待する。そして、伝えるために必要な技術が適切に選ばれているかどうか、十分に練られ、磨き上げられているかどうかも評価の対象としたいと思う。もし一人の作家の方が複数の作品を応募される場合には、その組み合わせについても、十分に考えていただければと思う。楽しみにしている。」とコメントしている。
 竹中美幸氏は、美術作家 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業後、同大学大学院美術研究科修了。東京を拠点に活動。主に透明な素材を用いて制作しており、光や影を取り込んだ平面作品やインスタレーションに展開。近年の個展に「物語はつづく」(2023スイトピアセンターアートギャラリー/岐阜)、「陰と陽と」(2022アートフロントギャラリー/東京)、「都市のさざめき」(2019新宿パークタワーギャラリー1/東京)など。主なグループ展に奥能登国際芸術祭2020+(スズ・シアター・ミュージアム/石川)、クインテットⅣ五つ星の作家たち(2018 SOMPO美術館/東京)、シェル美術賞 アーティスト・セレクション2017(国立新美術館/東京)、VOCA展-新しい平面の作家たち-(上野の森美術館/東京)など。主な受賞歴に2020年清流の国ぎふ芸術祭/篠原資明賞、2012年シェル美術賞/島敦彦審査員奨励賞、トーキョーワンダーウォール2010/ワンダーウォール賞など。
 「ここ数年間、新型コロナ感染症の世界的流行の中で、私たちは海外どころか自宅の外にさえ出づらい時期を経験した。そのような中わたしは、数は少ないがコレクションしていた何人かの作家の絵画作品を眺める時間に救われ、あらためて平面作品が持つ窓のような役割と奥深さに気づかされた。Idemitsu Art Awardの魅力は、企画書や画像での一次審査もなく全ての作品を実際にみてもらえることだと思う。ずっと作品の中で目を彷徨わせていられるような、そんな作品と出会えることを楽しみにしている。」とコメントしている。

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