デンカは5月29日、同社および持分法適用関連会社である東洋スチレンが製造・販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories Limited Liability Company(UL)認証に関する不適切な行為が判明するとともに、東洋スチレンにおいて日本国内の電気用品安全法に関連して設けられている部品・材料登録制度(CMJ 登録制度)に関する不適切な行為(本件不適切行為)が判明したと発表した。
同社は、この事態を重く受け止め、同日開催の取締役会において社外有識者による外部調査委員会の設置を決定し、本件不適切行為に関する徹底的な調査、原因究明および再発防止策の策定を行うことを決議した。
同社は「デンカグループESG基本方針」に則り、コンプライアンスは経営の最重要基盤と考え、周知徹底を行ってきたが、このような事態を招いてしまったことは誠に遺憾であり、ユーザーをはじめ関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしますことを、深くお詫びする。今後より一層のコンプライアンス強化に努め、再発防止とともに信頼回復に全力で取り組んでいく。
確認した事実は、同社ABS樹脂の一部グレードにおいて、外注委託先の工場で本来必要となるUL工場認定を取得しておらず、UL認証上不適合状態にあることが、同社監査により 2023年3月下旬に判明した。
現時点で判明している対象製品は、同社ABS樹脂の一部グレード(ガラス繊維強化ABS 樹脂)、対象グレード名一覧は、GR0510G D68-S20、GR1020G D68-010、GR2010G D68-013、GR2010G NP、GR2020G D68-011、GR2020G NPとなる。
本件を受けての対応として、現時点で、上記対象製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けていないが、最終製品の安全性や性能について、今後もユーザーのご協力を得て調査を継続していく。本件はUL Japan に既に報告しており、今後の対応について相談している。
東洋スチレンにおける不適切行為は、2023年5月上旬に同社まで報告がなされ、同社は直ちに、東洋スチレンに対し、初期的調査の実施を求め、その結果を確認してきた。
同社は、今般同社における不適切行為が判明し、また、同社が筆頭株主として発行済株式の 50%を保有する東洋スチレンにおいても不適切行為が判明したことを受け、これらの事実関係の調査を徹底的に行い、原因究明と再発防止策の検討を客観的かつ実効的に行うため、社外有識者による外部調査委員会を設置することとした。
外部調査委員会に対しては、同社および東洋スチレンにおける本件不適切行為および類似事案の有無について調査すること、また、その調査結果を踏まえた原因究明を行い、再発防止策について提言することを委嘱する。東洋スチレンからは、外部調査委員会による調査に全面的に協力する旨の意向を表明しており、同社と東洋スチレンにおきましては、外部調査委員会の調査に協力するための体制をすでに構築している。
なお、同社は、外部調査委員会より調査報告書を受領した際は、速やかに開示その他必要な対応を行っていく。
外部調査委員会の委員長は、倉橋雄作氏(弁護士、倉橋法律事務所)、委員、松山遙氏(弁護士、日比谷パーク法律事務所)、委員、西嶌宏之氏(公認会計士、 KPMG FAS)となる。
本件不適切行為における同社の今期連結業績への影響は現時点において不明。今後、同社から公表すべき事項があれば適切に公表する。
2023年05月31日