東商ゴム工業（東京都墨田区、末永大介社長）の23年６月期現況（22年10～23年３月）は、売上は前年同期比８・１％減、営業利益は同26％減で推移している。23年６月期について末永社長は「営業利益は大きく落ち込んではいるものの、ゴム材料や接着剤、梱包材などのコストが上昇し、従業員の給与面も見直した。当社の事業規模ではまずまずの利益水準にあるのではないか」と話した。
製品別にみると、ゴムや樹脂、スポンジなどのローラー関係は、繊維機械向けはコンスタントに注文が入っている。また、スマホやデジカメで撮影した写真を印刷するデジタルフォトプリンター向けのローラーも今期に入り伸びている。
末永社長就任後は、ゴムの配合から成形、加工まで一貫生産できる強みを活かし、ローラー以外のゴム製品の受注にも力を入れている。その一つにレコード針用ダンパーゴムがある。そのダンパーゴムは17年にトップウィング社のレコードカードリッジの「青龍」に採用されたことが契機となり、老舗企業や国内有力レコード機器メーカーも同社のダンパーゴムを採用した。「採用を機に、画像寸法測定器・3Dスキャナー型三次元測定機・反発弾性試験機・加硫試験機を導入することで品質向上を図り、今後も展示会やＨＰなどを通じてダンパーゴムをアピールしていく」（同）。
展示会への出展は、新しい顧客の獲得につながっているのはもちろん、「出展社同士の交流を深めるきっかけとなっている」（末永社長）と話す。昨年６月の機械要素展では、日ごろから協力関係にあるゴム金型の石井精工（東京都墨田区）の隣にブースを開設した。６月21～23日に開催する機械要素展でも石井精工の隣にブースを構え、ゴムの金型から成形まで一貫生産できる強みを来場者に訴求する。「ゴムの成形で悩まれるお客様が石井精工さんから当社に成形を依頼されたり、その逆に金型で悩まれるお客さんに石井精工さんをご紹介することもある。まさに当社のありたい姿である当社に関わる皆さまがウインウインの関係ができつつある」（同）と強調する。
また、人材交流や企業間交流の場として、昨年６月に本社にオープンしたＬａｂＣａｆｅ（ラボカフェ）は、７月よりスタッフ２名がＳＮＳや動画による発信更には耐熱性約１４０℃のウレタンゴムシート（３００Ｘ３００Ｘｔ５）のネット販売などを強化していく。さらに今年からは墨田区がデザイナーと区内の企業を引き合わせて、新商品を開発する「すみだモダン」に参加。同社は家電や家具、日用品などをデザインするデザイナーと一緒にゴムを用いた新商品開発に現在取り組んでいる。新商品は、来年３月までに横芝工場（千葉県山武郡）の生産工程で出た「ゴム粉」を活用したものをテーマに商品化する予定だ。
Ｌａｂ Ｃａｆｅ
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