旭化成は5月31日、経済産業省が東京証券取引所及び情報処理推進機構(IPA)と共同で実施する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に選定されたと発表した。今回で2021年から3年連続の選定となる。
同社グループは、2016年ごろからデジタル技術を活用し、400を超える現場の課題解決に取り組んできた。昨年4月に発表した「中期経営計画2024~Be a Trailblazer~」においてもDXを経営基盤強化に向けた重要テーマの一つに掲げ、無形資産の価値化や新事業創出などの経営革新を進めている。
今回の選定にあたっては、幅広い分野での多面的なデジタル化の取り組み、DXの定着に向けた人材育成や企業文化の醸成が高く評価された。
取締役兼専務執行役員兼デジタル共創本部長久世和資氏は、「当社は「デジタルの力で境界を越えてつながり、すこやかなくらしと笑顔のあふれる地球の未来を共に創ります」というビジョンを掲げ、開発・製造・マーケティングなど、各方面でDXを進めてきた。そうした取り組みが評価されてたいへんうれしく思う。グループ内の変革と並行して、サプライチェーンや競合他社なども含め、社外との連携を見据えた取り組みも続々と始まっている。また、将来の産業を担う学生の皆さんへのデジタル教育支援も進めている。今後はさらに組織の壁、企業の壁、国境の壁を越えて、皆さまとデジタルの力で価値を共創していきたいと思う。」とコメントしている。
2022年度以降の取り組みテーマについて、業界を超えた資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」実証実験を開始。
「BLUE Plastics」とは、ブロックチェーン技術を活用して再生プラスチックの資源循環を管理・可視化するプラットフォーム開発プロジェクト。サーキュラーエコノミーの実現に向けて、リサイクルチェーンに関わるさまざまな企業や消費者が幅広く利用できるオープンなデジタルプラットフォームの開発を進めている。2022年度には実証実験を開始し、社会実装に向けて、消費者の意識・行動変容を検証している。
CFP(カーボンプットプリント)算定システム化も推進しており、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量を可視化するためCFP算定システムを推進している。
まずはマテリアル領域の主要製品を中心に製品ごとのCFP算定を進めており、サプライチェーンの脱炭素化に向けて一部顧客への情報提供を始めた。2023年度には全社標準CFP算定システムを構築し、排出量の可視化により得られた情報を戦略策定に活かしていく。