ゴム・樹脂ロール特集 加貫ローラ製作所 フィルム用伸長で22年度業績は好調 フッ素系防汚コーティング剤を開発

2023年06月13日

ゴムタイムス社

  加貫ローラ製作所(大阪市生野区、加貫泰弘社長)の22年度業績は、売上・利益ともに計画をクリアして好調だった。その理由は「フィルム用で大型案件があったこと、日ごろの営業活動が顧客の信頼を獲得し、付加価値の高いローラーの受注に結び付いたことも大きい」(同社)という。
 分野別では、印刷市場が厳しさを増すなか、同社の印刷用は横ばいを維持。特にUV用は付加価値が高い上、ローラーの交換サイクルも早く、アバントUVやアバントWなどのUV用ローラーは堅調な動きが続いている。
 工業用では同社がメインに据えるフィルム用は、ゴムローラー、金属ローラー、CFRPローラーはいずれも好調に推移した。フィルム分野では、フィルム生産時の異物付着やシワ、傷などに課題を抱える顧客が多い。同社はこれら課題解決につながるローラーを提案し、需要を広げている。
 その他、白C970Nは高強度・高離型性を同時に実現したシリコーンゴムローラー材質が開発された。「フィルムエッジでの摩耗や欠けが発生しにくく、かつ粘着性を有するフィルムのラミネート、搬送に好適である」(同社)と強調する。
 ロール表面に特殊処理を施すことで、フィルムのシワや張り付きを防止する「スベラックス処理」や更にフィルム起因の抽出物や汚れを防ぐ「ミラックスNEO」「ミラックスⅡ」の提案にも注力。処理できるゴム材質の種類も増えており、「今後拡販が期待できる製品」(同社)。
 スリッター刃物や金属ローラー、その他機械周りの汚れ防止(防汚性)効果を発現させるフッ素系防汚コーティング剤「YOGOREーN(よごれ~ん)」を開発し、関西高機能フィルム展(5月17~19日)で初披露した。現場で稼働する金属ローラーに再び防汚性を発現させる場合、現場で外した部品やローラーを同社で預かり、処理して納品するのが一般的。これに対し、「よごれ~ん」はコーティング剤とスポンジをセットで販売する形をとる。「よごれ~ん」は塗布後2時間程度置けば、汚れ防止効果が発現する。「現場でローラー等を外す手間がなくなり、お客様のメリットは大きい」(同社)。
 印刷用では、環境配慮型インキローラー「リトレッドローラー」の採用を働きかける。寿命を迎えたゴムローラーはすべてのゴムをはがして新しいゴムへ巻き替えるのが通常だが、リトレッドローラーはゴム表層のみを巻き替えて使用するため、廃棄するゴム量が削減され、CO2排出量の低減につながる。しかも従来品と同等に使用できるという。SDGsやCO2削減の潮流を踏まえ、会社全体で環境対応製品の開発に力を入れていく。

YOGORE-N(よごれ~ん)

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