DICは6月6日、廃材となった食品や日用品などの軟包装フィルムを対象に印刷インキ除去(脱インキ)技術を用いて再生した材料が、大日製罐の梱包用バンドおよびDICプラスチック(DPI社)の仮設資材に採用されたと発表した。
両製品とも6月上旬より販売開始する。
同社は、持続可能な循環型の資源利用を推進することを経営課題の一つとしている。注力市場と位置付ける食品パッケージ市場においては、2021年5月より廃棄軟包装フィルムのマテリアルリサイクル拡大に向けて大手製パンメーカーと協業開始した。
これは、ブランドオーナーや加工メーカーから回収した廃棄軟包装フィルムを対象に脱インキ技術を用いることで、再生ペレット(プラスチック樹脂)の混色を防ぎ、新たな用途へ再生させる取り組みとなる。
従来の廃棄軟包装フィルムのマテリアルリサイクルでは、フィルムに印刷インキが残るため暗色系のペレットにしか再生できず、再資源化の用途を限定していた。この脱インキ技術は、再生ペレットの着色および異物混入による物性劣化の課題に対応できるため、暗色以外のカラフルな着色を可能にする。
同社は脱インキ・剥離・原料化(造粒)の工程、DPI社と大日製罐は成形加工・再利用の工程においてそれぞれ独自の高い技術を生かしプロセスの最適化を実現したことから、このたびの製品化に至った。
プラスチック成形品などの製造・販売をするDPI社は、この再生原料が視認性を重視する仮設資材「カンバリ(看板・バリケード)」の原料として、従来の色相に近い色合いを再現できることと、成形品の物性を確保できることから採用を決定した。6月上旬より販売を開始し、今後も順次その他製品群への利用拡大を図る予定となる。
容器や資材などを製造・販売する大日製罐も同様の理由により、この再生原料を採用し、環境対応型梱包用バンド「ECOフレンドリーPPバンド」を6月上旬より販売を開始する。
同社グループは、社会課題であるプラスチックごみ問題の解決やプラスチック資源の循環社会の実現を⽬指し、今後もステークホルダーと連携し、軟包装フィルムのマテリアルリサイクルの社会実装と再生ペレットの事業化を積極的に推進していく。
同社は日本で有数のファインケミカルメーカーのひとつであり、同社グループの中核企業となる。同社グループは、世界全体でSun Chemical Corporationを含む約190の子会社によって構成され、60を超える国と地域で事業を展開している。
グループ全体として、人々の生活に欠かせない包装材料、テレビやPC等のディスプレイに代表する表示材料、スマートフォンなどのデジタル機器や自動車に使用する高機能材料を提供するグローバルリーディングカンパニーと認知されている。
これらの製品を通じて、社会に安全・安心、彩り、快適を提供している。同社グループは持続可能な社会を実現するため、社会変革に対応した製品や社会課題の解決に貢献する製品の開発にグループ一丸で取り組んでいる。
連結売上高1兆円を超え、世界全体で2・2万人以上の従業員を有するなか、同社グループはグローバルで様々なユーザーに寄り添っていく。
2023年06月08日