グッドイヤーは6月6日、タイヤの空気圧と温度を記録する初のリアルタイム・インテリジェンス機能を搭載したレーシングタイヤが、今年のル・マン24時間レース(6月10~11日開催)に特別枠で参戦するNASCARガレージ56の「新型シボレー・カマロZL1」に装着されると発表した。
このレーシングタイヤには、製造工程において、同社の革新的な電池不要のパッシブセンサーが埋め込まれている。このセンサーは、同社のインテリジェントテクノロジーである「Goodyear Sightline」を搭載しており、レース展開に合わせてリアルタイムのタイヤデータをヘンドリック・モータースポーツ・チームに提供する。
チームのエンジニアとドライバーは、タイヤのインテリジェンスデータを活用してタイヤの空気圧と温度を把握し、マシンとドライバーそれぞれのセッティングをリアルタイムで調整することで、マシンの性能を最適化することができるようになる。
同社最高経営責任者兼社長リチャード・J・クレーマーは、「タイヤはマシンと路面が唯一接する部分で、そこから得られるリアルタイムの情報は、最も過酷な条件下でもドライバーのパフォーマンスを最大限発揮させることができる可能性を秘めている。グッドイヤーは、モータースポーツ界において新たな扉を開くタイヤ・インテリジェンスを導入できることを、とても誇りに思う。また、NASCAR、ヘンドリック・モータースポーツ・チーム、シボレーと共同でこのガレージ56プロジェクトに参加できたことは光栄。」としている。
同社は、タイヤ・インテリジェンス機能のほかにも、NASCARガレージ56の「新型シボレー・カマロZL1」用に、レーシングタイヤ、インターミディエイトウェットタイヤ、フルウェットタイヤの3種類のタイヤを提供する。これらは、ル・マン24時間レースで起こりうるあらゆる天候による路面コンディションに対応できるよう設計している。
レーシングタイヤは、高い耐久性とグリップ力を発揮するドライコンディション用のタイヤで、ル・マン24時間レースにフル参戦する競争力を持たせる。
インターミディエイトウェットタイヤは、霧や小雨などの路面コンディションでもマシンのポテンシャルを最大限に発揮させる。
フルウェットタイヤは、大雨用のタイヤで、独自のトレッドデザインとタイヤ構造により、タイヤ表面の水を接地面から排出させる。また、よりソフトなコンパウンドを採用することで、低温時にもグリップ力を維持する。
ガレージ56「新型シボレー・カマロZL1」で使用する全てのタイヤは、米国オハイオ州アクロンにある同社最高峰の生産施設であるイノベーションセンターで、すべて手作りで作られている。
NASCARガレージ56「新型シボレー・カマロZL1」のドライバーとして、7度のNASCARカップ・シリーズチャンピオンに輝いたジミー・ジョンソン、ル・マン24時間レース優勝の実績があるマイク・ロッケンフェラー、そして2009年のF1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトンを指名した。
ドライバーとエンジニアのチームは、究極の耐久レースに向け、12か月間におよぶ、8つのサーキットにおける合計10回のテスト走行を実施し同社タイヤの評価をした。その走行距離は7500マイルを超えている。ガレージ56プロジェクトは、NASCAR、ヘンドリック・モータースポーツ・チーム、シボレー、そして同社によるパートナーシップで構成している。75年におよぶNASCARの歴史の中で、最も多くの勝利に輝いたチーム、マニュファクチャラー、タイヤの夢のチーム編成となる。
マシンは、未来の革新的な技術を示すためのコンセプトカーのため、主催者による特別枠での参戦となる。また、同社は、ル・マン24時間レースのガレージ56プロジェクトに加え、LMP2クラスの独占タイヤサプライヤーとしても参戦する。
これらの革新的なタイヤは、テクノロジーの分野で業界をリードしてきた長い伝統を持つ同社最新の作品。1898年の創業以来、同社は新たなモビリティ社会の実現と発展に「More Driven(より情熱的)」に取り組んできた。今年、同社は創業125周年を迎え、世界を動かす商品とサービスを提供し続けていく。
同社は世界屈指の大手タイヤ会社。従業員数は約7万4000人で、世界23ヵ国、57の生産拠点を展開している。米国オハイオ州アクロンとルクセンブルグのコルマーベルグの2ヵ所に技術開発センターを有し、技術・性能の両面でタイヤ業界の標準を形づける最先端の製品とサービスを開発している。
2023年06月08日